今から30年近く前、会社の夏季休暇を利用して友人と2台で北海道に出かけました。
 その時私が乗って行ったバイクがこのXL250sでした。
 東京から国道6号線を北へ向かって夕方6時出発、途中何度も休憩や仮眠を取りながら青森県野辺地のフェリー乗り場に到着したのは函館行き最終便の30分前でした。

 函館に着いて宿泊地の大沼公園に移動、途中食料を買い込んでのキャンプでした。
 道東からぐるぐる回って網走、稚内、礼文、利尻島を眺めながら南下。
 奥尻島を眺め一路函館へと大急ぎの旅でした。
 青森に着いて青森駅でキャンプ、大勢の旅人が寝袋の中に入ってご就寝でした。

 帰り道は奥入瀬から八幡平、田沢湖、横手、新庄、山形。  米沢、猪苗代、その後会津西街道をひたすら南下。
 高速道路も完備していない時代、ただ根性で走り通した二千数百キロ。
 一回のパンクも、故障も無く無事帰宅出来た事がとても嬉しかった。

現在は全く街で見かけなくなってしまったXL、懐かしさを込めて作ります。

 何時ものようにホイール作りから。

 フロントハブの片側はとても小さな部品で、結構面倒そうな予感がします。

 ホイールにはリム幅とハブの幅に差が有って、そのまま県でしまうとオフセットされてしまう場合があります。

 それを避けるためにハブを浮かせたり、逆にリムを浮かせたりして中心を合わせなければなりません。

 XLのリヤの場合はハブ幅が大きいのでその分リムを浮かせています。

 フロントは逆にハブ幅がリム幅よりも小さいのでハブを紙2枚分浮かせて調整しています。

 調整が上手く行って組み立てが終わったリヤホイールと、ハブを0.25mm浮かせてスポーク張りの準備が整ったフロントです。

XL250s
HONDA
BANDAI 1/12

製作記

TOP

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 リヤホイールと同じ組み方で完成、タイヤを履かせました。

 ハブの色は何故かシルバー、理由は中古で買ったそのバイクがこの色だったということで。

 XL250Sのドライブチェーンはチェーンカバーが無いので全て見えています。

 そこでチェーンを彫り込んでディティールを細かく表現していきます。

 このため専用に研ぎだした自作スペシャル刃を使い、チェーン幅1.2mmに刃を入れてローラーと駒を立体化させる技法です。

 普通に使っているクラフトカッターでは絶対に真似出来ない優れものの刃は、ローラーの丸みと駒の薄さをいっぺんに削り出し、能率と仕上がりの良さでチェーンの上面とスプロケットの周囲を削るのに要する時間は2時間程度、下側を除いて通常見える部分、スプロケットとチェーンの噛み始めの狭い部分も含めて全て刃を入れられます。

 この刃は大中小の3種類有り、開発するには何回かの試行錯誤が有って実際に試験がてら製作したモデルも数作有りました。

 手に馴染まない高価な工具を買って苦労するより、同じ苦労するならやっぱり刃物は自家製に限ります、それも切れなくなったクラフトカッターの廃物利用なのでタダなんですから。

 1/12〜1/6まで対応出来る刃は私の秘蔵アイテムです。

 綺麗に削れると言ってもほんの少しササクレが残る部分が有るので、仕上げに流し込み接着剤を薄く塗布。

 これで表面が滑らかになって塗料を塗る筆もスムーズに動かせます。

 1/12 のオフローダーは構成部品の数も少なく塗装が主な仕事の様な感じです。

 タンク上部とサイドカバーの黒い部分はマスキングで半艶消しの黒で塗り分け。

 インナーチューブだけスパッツスティックスのメッキ塗料を使いその他の部分は調色シルバーを使い分けたり、墨入れや泥汚れを軽く付けたりして使用中のイメージにしています。

 フレーム関係は組み付けが終わり固定していますが、サスペンションやホイール部分は仮組み。

 細かい工作や塗装が終わらないので撮影後にはまたバラバラになります。

 キット部品のリヤサスはスプリングと一体成型、指定色はスプリングをブラック、その他はシルバーということで面白さは無し。

 定番のスプリング自作、ショックユニットとスピンドルも自作というバラバラにしてから組み立てする方法。

 塗色もお洒落な感じにフレームと同色のレッドにしてみました。

 フェールタンクやサイドカバーなど外装を含む様々な部品の塗装が進む中で、シートの工作が残っています。

 一体成型のアシストベルトを削り落として別部品として作っています。

 取り付けはブラケットを介してショックユニットの取り付けアッパーボルトでフレームに共締めされるのでショックが取り付け終わらないと出来ませんでした。

 やっと出来る様になったのでブラケットを作っています。

 ベルトの長さは現物合わせで決めるしか有りません。

 アシストベルトのブラケットは此処に取り付くのでショック取り付けボルトの頭のモールドは削り落としピンを刺せるように穴を開けておきます。

 ベルトは厚さ0.3mmのプラ板を細く切り出した物、ブラケットの長穴に通して裏側で接着しています。

 片側をピンで固定してもう一方のブラケット位置を調整して長さを決めています。

 シート自体に取り付けるベルトとは違った取り付き方なので、ベルトに余計な弛みが生じない様に工作に神経を使います。

 長さが確定したのでベルトに少しだけ表情を付けてから塗装。

 ブラケットを通って裏側に回ったベルトを止めるリベットも再現しました。

 こうして横方向から見るとベルトがどの様に取り付いているのか分かりません。

 それよりもサイドカバーに貼ったデカールがヒビだらけです。
 死んでしまったデカールを無理やり貼り付けたので仕方が無いのですが、タッチアップするか又は経年変化としてそのままにするか・・・そのままの方が味が有る様な気がしますが・・・。

 斜め後方に回って見て初めて取り付け状態が分かります。

 折角ボルトの頭に見立てて六角に削った虫ピンの頭は殆んど見えなくなりました。

 完成に向けて細かい部分に手を入れています。

 左右のステップやブレーキペダルは中抜きしています。

 塗装も少し剥げた感じを出すためシルバーでドライブラシ。

 ホイールやエンジンマウントのボルトは一方からねじ込むだけでナットが有りません。.

 メッキ部品は殆んど無く、艶の無いブラック塗装が大半を占めています。

 ブラック塗装も使い込んでいくうちに下地の地肌が薄っすらと見える部分が多くなります。

 ヒビだらけのデカールはやはりタッチアップで軽く色を乗せる事にしました。

 手を入れればまだ入れる部分は多く有りますが、最後に全体に薄っすらとウェザリングを施し、今回はこれで完成としましょう。