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製作奮闘記

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 近年復刻版とも言うべきV7クラシックが発売されましたが、イメージはV7スペシャルを彷彿とさせますが当然の如く最新鋭、フレームから何から何まで子孫の変わり様は凄いものです。

 今回は、プロヴィーニおじさんのアレンジの効いたV7のご先祖様モデルを作ろうと思います。

 パッケージ右下に貼られている黄色いシールに書かれているのを読むと・・・「このモデルにはアルミHリムがフィットします。 別売り¥7,500」。

 このシールが貼られた当時のキット価格(¥4,400)よりもアルミリムの方がずっと高かったんですね。

 そこでキットのリム部品を検証すると・・・Hリムでは無いし、形そのものが変。

 プロターその物と言ったら良いか、らしいと言ったら良いか・・・。

 これをそのまま作るとなると相当勇気が要ります。

 スポークは引っ掛けの曲げが無いストレートスポークの様で、取り付け箇所はブレーキパネルの内側に有るので外からは見えなくなっている様です。

 グレーの筒状の部品はドラムの外周部品、僅かな段差が付いているけれど殆んど平ら。

 本当なら放熱フィンが何枚も有って、もっと立体的な筈なんだが・・・。

 造形の手直しをいろいろ考えてみると、ドラムはスクラッチした方が良いような気がして来ました。

 ついでにタイヤを履かせてみましたが、何だか緩い感じではまります。

 ???と感じ、タイヤをよく観察してみると・・・中空タイヤの真ん中の合わせ目の間隔が広すぎるため、リムにはめるとこの間隔がしぼんでタイヤの太さが細くなっているからだと判明、対策を考えなければなりません。

 フレームはソフビの様な材質で軟らかく、長い間曲がったまま箱詰めされていたために曲がりや歪みが酷い状態でした。

 そのため左右がピタリと合わないので、折れないように慎重に曲がったり歪んだりした部分を指で直しています。

 曲がりを直した部分は強引に瞬間接着剤で固めて、元に戻らない様にしています。

 クランクケースとシリンダーとヘッドを見ています。

 クランクケースは特に取り上げる箇所も有りませんが、中に糸ハンダを相当量詰め込んで重さをプラスしているのと、各ボルトくらいは金属パイプに置き換えた方が良いかも知れません。

 シリンダーとヘッドフィンの枚数は、プロターにしては珍しくピッタリなのですが、金型のズレとフィンを直撃する押し出しピンの跡が多すぎ、このままフィンを薄く削り、奥行きも削っただけで済むものか・・・やはりフィンは積層で作った方が綺麗に行くのは分かっているのですが・・・。

 取りあえずシリンダーとヘッドを接着してクランクケースにはめてみました。

 750cc Vバンク90度 空冷ツイン・・・やはりこのままでは全体がボッテリした感じで空冷エンジンの繊細さが感じられませんねぇ・・・どうにかしたいなぁ。

 シリンダーは置いておいてクランクケースも直す箇所が有ります。

 Vバンクの底の部分、金型の抜きの関係でこの様なモールドになるのは仕方の無い事なので、後は手作業で再現するしかない部分。

 カッターで削り取り、細く切ったプラ板を使ってリブを再現しました。

 殆んど見えなくなってしまう部分ですが、見ようと思って見れば見える部分、変な拘りですね。

 シリンダーのベース部分の手直しのお陰でシリンダーガスケットの形が見えてきました。
 その形に添ってシリンダーの外壁がほぼ決まるので、この作業は一石二鳥でした。

 その他シリンダーベースの下にリブモールドの追加、クラッチハウジング及び丸坊主のミッションケースにリブを追加しています。

 ミッションケースの右側にはオイル注入口とドレンプラグが有りますが工作の都合上削り取ってあります。

 ミッションケース左側のリブは、スターターモーター等が付くのでこれも殆んど見えなくなりますが・・・。

 各取り付けナットのモールドは全て削り落としています。

 輪郭がはっきりしたシリンダーのベース部分、シリンダーの穴以外に6本のスタッドボルトとシリンダー中通しのプッシュロッドの2本のトンネルやオイル通路の穴が、本当はこの白いプラ板(ガスケット)に開くんですが、肝心なのはシリンダーの外壁の凹凸だけ。

 ベースのプラ板と同じ形のプラ板を沢山切り出さなくては・・・。

 シリンダー及びヘッドの高さとフィンの枚数、在庫のプラ板の板厚の関係でスペーサーになる部分は合板を作らなければなりません。

 レーザーカッターなんかが有れば、CADでデーターを作って機会にセットすればあっという間に正確な形で何枚も作る事が出来るんですが・・・昔そんな仕事をやった経験が有るので、こういう工作の時なっかの折につい考えてしまいます。

 そんなくだらない事を考えずにひたすら手を動かす事にしましょう。

 シリンダーの最上部と最下部の2枚を切り出し、これを基準にして残り7枚を作ります。

 作った7枚とスペーサーを組み合わせて仮組みながらシリンダーが組み上がりました。

 シリンダーだけですが左右仮付けしてイメージとのすり合わせ。

 何しろキットのクランクケースをそのまま利用していますから、細かい部分で相違は有るかと・・・、今回はこのまま進めます。

 次にヘッド作りに入ります。

 シリンダーと違い吸排気ポートが有り、プラグ取り付け口も有るのでスペーサーの形状もシリンダーの時の様には行きません。

 ヘッドカバーの形状もシンメトリーでは無いので、フィン中心の貫通穴位置も決めにくく、この辺はフィンの形状を大まかに出して手作業で合わせるしか無いのかなぁ・・・。

 あと3枚を重ねれば規定数になりますが、フィンの下から8枚目からは手探り状態でフィンの形や位置を決め、それに連れてスペーサーの形状も異なってきます。

 全てのフィンが重なり、左右揃って出来上がりました。

 後ろのキット部品と比べると・・・・自己満足ですね。

 シリンダー周りのニュアンスがどの様に変わったか仮付けして確認。

 シリンダー関係で唯一つのメッキ部品のヘッドカバー、メッキを落とし取り付けボルトの小さなヘックスボルトはアルミパイプに置き換えプラグ穴を開けて工作は一段落。

 塗装が待っています。

 シルバー塗装はいつもの手順でブラックから吹き始めています。

 つや消しシルバーとアルミシルバーは基本色で吹き、下地を作っていきます。

 その後エナメル塗料でウォッシングしたりドライブラシをかけたりした後シリンダー外部オイルラインを追加したりダイナモやセルモーターなどを取り付けています。

 エンジン後方から。

 長い首を持つデストリビューター、キャブインシュレーターの取り付けで何とかそれらしくなって来ました。

 削り落とした蓋やドレンプラグ、ボルトやナットなども取り付けています。

 ドライブシャフトのフランジを取り付け、シフトリンケージを仮組みしています。

 エンジンへの取り付け部品は配線以外の物はほぼ完了です。

 フレームはヒケや押し出しピンの跡、余計な穴などが多数有りましたが、全て塞ぎサフを吹いて均した後色付けをしています。

 基本となるカラーはブラックですが、少し派手な雰囲気を醸し出したいので、私としては珍しくレッド塗装を施しています。

 キットのホイールは実車の形とはずいぶん違います。

 実車の写真を見ると殆んどの固体がHリムを履いていますから、模型でもそれに倣ってHリムを履かせたいと思います。

 形の違うリムを改造するのでそれなりに手を加えていきます。

 Hリムへの改造は数例覚えが有るので、その時の工程に準じて行います。

 先ずリムの両端にプラ板を貼るので、その厚み分リムを削って幅詰めをします。

 ハブはスクラッチする予定ですが、とりあえずメッキだけはおとしておきます。

 メッキを落としてスポークを全て切り落とし、リム自体の形を作ります。

 最初にリム幅中央の凸モールドも削り取り、平面にします。

 平面にした所には細く切り出し扁平台形断面に整形したプラ板を貼って再現します。

 側面にプラ板を貼りました。

 このリムの断面は台形に似た形をしており、プラ板を側面に貼っただけでは大きな隙間が出来てしまいます。

 口を開けた隙間は幅1mm程に切り出したプラ板で塞いでいます。

 大雑把ですが、何とか形が出来ました。

 プロターのリムはキットによって様々な形をしている様ですが、こういう改造は輪っかが有ればどうにかなるもんですね。

 ただ仕上げはこれからで、専用の自家製カッターの刃無くしては作業は出来ません。

 削りに削ったリムもリップ部の突起を付けて終了、形としては完成です。

 後はニップルの通る穴あけを待つばかりになりました。

 V7のスポークは40本なので製図ソフトを使ってパターンを作ります。

 パターンの延長線に鉛筆で裏表の両方にマーキング。

 マーキングした所にデバイダーの針でピアッシングしておきます。

 実際にスポークを張るためのパターンを作るに当たって、キット部品のハブを参考にして正確な線を出さなければなりませんが・・・それを決めるためにハブに補助線を書いていつものパターンの基準円を探しました。

 3本の輪が書かれていますが一番外側はリム内側のライン、2番目はキット部品のハブの外径ライン、そして3番目が探し当てた基準ラインの輪です。

 この基準に沿ってパターンを作れば正確な線が引け、ハブにスポークが刺さる穴の位置や角度が掴めます。

 前輪と後輪はハブの直径が違うので、それぞれのパターンを用意しました。

 パターンが決まればそれに沿って穴あけをすれば完了、但し最初から太いドリルは使わず、0.4mmでピアッシングした穴に正確に道穴を開け、0.6、0.8と順に大きな穴にしていく事が肝心。

 因みに0.8mmはニップルに使うビニールチューブの太さ、下地塗装が終わった時点でもう一度0.8を通し、染み込んだ塗料を排除します。

 穴開けのためにささくれた穴周辺を整え、リム内側の工作はひとまず終了。

 次に裏側の工作に入ります。

 裏側の処理に使う工具は歯ブラシとリューターで使うビットの二つだけ。

 バイスに咥えたビットを指でコリコリっと回しながら表面ギリギリまで慎重に掘ります。

 これは経験上ギリギリな程パイプが通りやすくなり、能率が上がるからです。

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