FUJIMI 1/24  Kyoseki '92 SKYLINE GT-R (R32) 

Gallery
TOP
製作奮闘記

03年 4月12日〜7月27日

神奈川県戸塚市のK氏のご依頼で製作致します。

 初っぱなからこんなアングルの写真で申し訳有りませんが、製作に入る前に気になっている点を確認しているところです。

 何かと言いますと、この手のキットは大体ノーマル仕様のが初めにあって、次にバリエーションとして出ていると思います。
となると、シャシー関係はノーマルキットに何かしらの細工をした部品が付くか、専用設計の部品が入っているかのどちらかだろうと思っていました。

 箱を開ける前から気になっていた点で、果たしてFUJIMIは前者の方でした、T社にもフルディティールのデカールの違うだけで同じキットが有りますが、箱を開けたことが無いので何とも言えません。

 4輪共ノーマル部品の上に大判のディスクローターを重ね、ホイールを装着するようになっていますが、心配していた事がやはり当たってしまいました。

 ご覧の様に4輪全部がフェンダーから2o程はみ出してしまい、特にフロントはフェンダーとの隙間もほとんど無くステアするとフェンダーに当たってしまいます。

 何れにせよ、フェンダーからはみ出す状態は正常ではなく、有り得ない状態なのでこの点は絶対に修正しなければならない箇所です。

 また、フロントホイールにはネガティブキャンバーが僅かに付いていますので、この角度も再現しようと思います。


 ボディーを作る前に確認出来ましたので、今回は足回りから製作を開始しようと思います。

 仮組をいろいろやってみてフロント側はストラットの上部の位置を1.5o内側に寄せるために、写真の様に既存の穴の内側に同径の穴を空けてホイールを内側に移動すると同時にキャンバー角もネガティブに変更出来そうです。

 リヤにも僅かながらキャンバー角度が付いているので、それも再現します。
 スぺーサー代わりのディスクローターを気持ち斜めになる様に少しづつ削りながら調節しました、若干角度が付いたのがお解り頂けますか?

車軸には金属棒が用意されていましたが、角度を付けたために回転をする事が出来なくなったので、ダミーのシャフトを2oのプラ棒で再現しました。
 従って後輪は固定となります。

 大体の調整が終わって仮組みして見ました。
 各ホイールの位置が適正な位置に納まっているのが見て取れます。

また、リヤホイールのキャンバー角度よりもフロントには少し大きめに角度を付けて有ります。


一番下の写真はホイールとタイヤアーチとの位置関係を見たところです。

 フロントのアライメントを変更したりすると必ずトーインが変わってしまいます、そこで左右をつないでいるリンクの長さも合わせて微調整する必要に迫られます。

 私はこのリンクの部品の中央部分を接着面を大きく取るために斜めに切断して長さを少しずつ削りながら調整します。
 調整が出来たら補強のために薄いプラ板を巻いて接着します。

 フロント部分の構成部品を組み立てたところです。
 修正した部分は殆ど隠れてしまい目立たなくなってしまいます。

 これでキャンバー角とトーインの調整が出来上がりました、元々キャスターの角度は付くように組み立て出来る様になっていますので、この部分はこれで完成です。

 リヤの構成部品も組み付け、シャシーがほぼ完成しました。
 サス関係の色の塗り分けはご覧の様にしましたが、組んでしまいますと殆ど見えません。


 エキゾーストパイプは穴空けされていませんので、ピンバイスの太さを徐々に大きくしながら堀り、最後に手作業で極力薄くなる様に削りこみ、焼け表現も付けました。

 ホイールをよく見ると、ツーピース構造になっている様に見えますので、メッキされているホイールを一度メッキを剥がして塗装により表現をしようと思います。
 箱絵から判断すると、中と外とは色、艶共に違う様に見えます。

 それぞれの色分けと多少のウェザリングをしました、外側はメタル塗料で筆塗りをして磨き込んで艶を出しています。
 磨く行程が有るために、エアバルブのモールドは最初に削除して、新たに0.4oピアノ線と被複線の中身を抜いた物を薄く輪切りにした物で作り直し、差し込んで再現しました。
 これで立派に車の顔の一部になれました。

 出来上がったホイールにタイヤを履かせ、接地面を自重で潰れる分だけ削り、ハブに接着してそれぞれの様子を見てみました。

 計算した通りにフェンダーより奥に、キャンバー角も付けてセットできました。

 フロントをステアさせてもフェンダーに当たる事無く収まりました。

ボディー塗装の準備です。

 小さなパーツをランナーで作ったスタンドに軽く接着して塗装の準備に入ったところです。
 私の場合はどんなに小さい部品でも必ずこの様に部品に合わせた大きさのスタンドを作り塗装します。
 ランナーに付いている状態では後で切り離しの部分を修正したり、タッチアップしたりしなければならないので手間を省くと同時に個々の部品を完璧に仕上げたいからです。
 そのために常に余ったランナーでスタンド作りもしてストックしています。

 トランクリッドの上にある燃料の給油口部品が入る穴を空けているところです。
 直径6oの穴を開けなければならないのですが、私の持っているピンバイスにはそんなに太いバイスは無く、一番太くても2.5o迄でそれ以上の太さのバイスをくわえるチャックも有りません。

 そこでどうしたかと言いますと、まず穴のセンターを正確にノギスで位置を決め、 直径6oのテンプレートを作り、それをボディーにあてがいクラフトカッターでマーキング、穴の中心に0.4oの穴を空け、それを案内にして徐々に太さを変えて2.5oまで拡大し、その後は手作業でくり抜き作業を慎重に行った結果、取りあえず片方だけは成功しました。
 塗装が乗る分だけ少し微妙に削る必要が有りますが。
 左側はこれから取りかかるところです。

 いよいよ塗装の始まりです。
 塗装色は、説明書にはグンゼのデイトナグリーンとなっていますが、そのままでは箱の写真の色気とは大分違うように見え、何色か調合しようと思いデイトナグリーンを基調にホワイト、濃いブルーを少しずつ混ぜながら調節しました。
 実車を見たことがないので本当にコレでよいのか解りませんが、写真の色に合わせるのもかなり苦労します。
 調合瓶の中だけでは判断が出来ないため何度か実際にボディーに吹き付けて色合いを見ました。

 ボディー塗装の台は牛乳パックを材料として現物合わせで冶具を作り、セロテープで裏から止めて、ずれたり落ちたりしないように毎回車種に応じて 作っています。

 モールド自体がグリーン色でしたので筋彫りやヒケの修正などの下地処理と共に1000番のペーパーで表面を念入りにペーパーを掛け、塗料の喰い付きを良くしてから吹いて色の調整をしました、サフェーサーと言う物は使わず、最初はどうせ塵や埃が飛び込んでしまうので色の出具合を見ながら、ペーパーを掛けながら進んでいきますので3回程度吹いて行く内に色もハッキリと決まり、尚かつボディーの修整不足の箇所も無くなります。


 あまり代わり映えのない画像ですが、本塗装が終わり、一回水研ぎするので塗装を守るためにクリアーで皮膜を作るためのオーバーコートをしました。
 クリアー層だけを磨きますから塗色層を削らないで磨きの行程を終わらせる事が出来ます。
 こうして一度ボディー表面を平滑に磨いてからデカールを貼ればデカール自体も平滑に貼れるし密着度も格段に違います。
 その後、クリアーコートを念入りに行いますが、吹いたり削ったり乾燥させたりの繰り返しなので相当な時間が掛かります。

 クリアーを吹いてから丁度一週間経ちました、塗装もほぼ固まって力加減さえ調整すれば磨きには耐えられるのでコンパウンドを付けた布に水を含ませながら慎重にコンパウンド研磨をしました。
 デカール貼りが無ければこのまま更に磨きを掛けて外装部品を組み込めるのですが、そうは行かず私の苦手とするシール貼りをしているところです。

 このデカールは大分古い物の様で、表面の艶が縞模様のように抜けてしまい、結局はクリアーコートせざるを得ません。
 また、ドアーモールや、僅かながら起伏の面にも貼るのでマークソフターを使いましたが、古いシールにいきなりソフターをそのまま塗るのは危険と思い、水で薄めたもので貼った上から塗りました、それが正解だった様で今のところ綺麗に貼れています。

 ボディー両サイドのゼッケンシールを説明書通りに張り終えてKyosekiシールを貼ろうとしたところ、ゼッケンシールの位置に誤りが有った所為か、Kyosekiシールがボディーより2o程はみ出してしまうので困ってしまいました。
 そこで文字をバラバラにして文字間隔を詰めれば何とかなると思いやってみました。
 案の定ギリギリですが違和感なく収まり、リヤフェンダーに掛かるふくらみ部分にも対応出来ました。
右サイドのyの字がエアロパーツに掛かってしまうため、最後に接着する予定を変更してこの時点で取り付けました、ここら辺が後々どう影響してくるのか今の時点では何とも言えません。

 シール貼りの作業はとても気を使い疲れますが、まだまだ続きます。

デカールはこんな風に貼っています。

 私には苦手なデカール貼りですが、何時もこんな手順で貼っていきます。

 @デカールを水に浸けている間に筆で目標の位置に水滴を少し置きます。
 A台紙から剥がしたデカールをピンセットで摘み、水滴を置いた位置に置きますと、吸い付く様に貼れます。
 B位置決めをして1分くらい経ってから少し水を含ませた筆でデカールの端に僅かに触れる様に触りますと間に入っている水分が筆に吸い込まれて来ます。
 位置がずれない様に慎重に軽く触りながら抜いて行きます。

 Cあらかた抜けてデカールが動かなくなったら筆の根本部分で少し力を掛けて完全に水抜きをします。
 この後、少し乾燥させて落ち着いた頃にデカールソフターを上から塗り、すぐに舌を使って馴染ませながら落ち着かせます。

@

A

B

C

★ デカールソフターは有機溶剤で有害ですから、舌先に付いた液はすぐに布で拭き取ります。

 ボディー関係に貼るデカールは殆ど貼り、残すはウィンドウ周りに貼る物が残りました。
 ウィンドウ部品には内側から枠の部分をブラックに塗る行程が有り、その作業が未だ残っています。 その作業が済んでから前後のウィンドウ上部にデカールを貼りボディーに組み付けますが、その前にこの状態をクリアーコートをしますので、また少し時間が掛かります。

 クリアコートに入る前にウィンド周りのモールをブラック塗装します。
 この部分は艶消しではなさそうなので、前もってこの時点で済ましました。
 予め筋彫りをしておいたので墨入れの要領で薄く輪郭を出し、その輪郭からはみ出さない様に筆書きをしました。
 右フロントフェンダーの△の稲妻マーク付近にはエマージェンシースイッチかブレーカーのハンドルかボタンが有るはずなので、後で新造して取り付けられる様に0.4oの穴を空けておきます。

 右写真は輪郭を出す
ために薄く希釈した塗
料が各パネルラインに
浸透して行かない様に
マスキングジェルを塗り
ブロックします。

右ドアー

左ドアー

トランクリッド

ボンネット

ルーフ

 一回目のクリアー吹きから1週間経って恐る恐る水研ぎに掛かりました、まだ完全に乾燥していない箇所が数カ所有り、もう1週間置こうか考えましたが敢えて挑戦してみたらご覧の様になってしまいました。
 ドアーモールの凸部分やパネルラインの凹部分、デカール2枚重ねの端の部分に集中しています。
 ペーパーは1000番で軽く当てる様にしたつもりでも、クリアー層が薄かったのでしょうか、 指で軽く押さえていたりすると、ハッキリと指紋がついてしまいます。
 共色を 作ってタッチアップしてリカバリーしなくてはなりません。
 こんな具合ですから苦手意識が抜けないのかも知れませんが、模型製作にはエラー&リカバリーは日常茶飯事で、こんな事の積み重ねが自分のノウハウに繋がっていきます、・・・・まだまだ素人ですね。

 
その後タッチアップして、デカールの周辺を重点的にクリアーを吹いて、また乾燥の眠りに入りました。
 何度かクリアー吹き、乾燥、ペーパー掛け、の繰り返しの行程をこなして、最終吹きが終わったら本当でしたら乾燥には2ヶ月以上の時間が欲しいところです。

 削り過ぎてしまった箇所のタッチアップ修整をして、2回クリアーを吹き、軽く研ぎ出しをして3回目のクリアー吹きが終わった所でのスナップです。
 かなり段差や表面の凸凹が無くなり、だいぶ滑らかになってきました、塗料のためにデカールが軟化しているので研ぎ出しの力加減に慎重さが必要で、先を急ぐと必ず失敗します。

 相変わらず塗装した後の乾燥が遅く、しっかりと触れる状態には至っていないため、小さな部品に手を加えてみました。

 これはボンネットの2カ所に有るキャッチピンです。
 白い方は加工前のモールドの状態で、上が加工後の状態です。

 リングのモールドを削り落とし、0.3oステン線で輪を作り、モールドに0.3o穴を空けて通してあります。

 これでもこの部品は少々オーバースケールの様な気もしますが、これ以上小さくするには私の太い指の方がオーバースケールだったりして。

 乾燥期間を3週間ほど置いてコンパウンドで磨きを掛けています、クリアー層はほとんど固まった状態に見受けられますがまだ安心した訳ではなく、磨く力加減もなるべく弱い力を掛けてゆっくりゆっくり磨きを掛けています。
 コンパウンドのカスが残っていますが、照明の光線の写り込みを利用して滑らかさを表現してみましたがお解り頂けるでしょうか。

 コンパウンドによるボディーの磨きがやっと終了してリヤウィングと燃料給油口を接着し、ヘッドライトの部分にアルミ箔を貼り付けたところで一度シャシーに載せてみたところです。

 シートの裏面に付属のカーボンデカールを貼りました。
 かなり起伏の激しい面に貼るため、モールドにデカールを移してから何本かの切り込みを入れ慎重に馴染ませ、マークソフターで更に馴染ませました。
 はみ出した部分はカッターで綺麗に除去しました、下方の寸足らずの部分は殆ど見えなくなるためタッチアップで処理します。

 ダッシュパネル部もステアリングホイールを除いて完成しました。
 指定色よりややグレー気味に塗り、吹き出し口のルーバー部分を半艶消しブラックで塗り分けました。

 フロアーをホワイト、サイドはご覧の様な指定色に塗り分けました。
 フロアーにはボンベと思われる部品や、コンピュータ?、通信機器?の様な部品がモールドされていますが、勉強不足と情報不足のため何だか分かりません。
ボンベの方は多分エアジャッキのための物と思いますが、ならば配管をしようと思いますが、これはでっち上げで勘弁してください。

 コクピットの完成です。
 シートベルトは紙に艶消しブルーで着色し、バックルやアンカーは0.2oアルミ板より切り出し、虫ピンでフロアーに通して接着しました。
 アンカーの位置は想像で決めました、間違えていたらご免なさい。

 7月の連休に仕上げる予定でしたが、どうもままならず、少し残してしまいました。
 ボディー架そうの殆どを終えましたが細かい部品を2〜3点残してしまいましたので、ボディーは仮組の状態です。
 取りあえず写真のアップをしておきます。

 やり残した小さな部品です。
 右フェンダーのブレーカーハンドル、前後の牽引フック、トランクフードのロックラバー、それと磨きのことを考えて削り落としたウィンドーウォッシャーノズルを加工します。
 ブレーカーは資料にも丁度見えない位置にあって想像で作りました、伸ばしランナーと0.4oピアノ線を軸に前もって開けておいた穴に通して接着します。
 フックは厚みを半分まで薄く削りました。
 トランクフードロックのベースを0.2o厚アルミ板から切り出して瞬着で合体させ、ラバー自体もシェイプアップしてボディーに取り付けます。

 以前セブン改造ケーターハムを作ったときは、ボンネットが脱着出来たので、ちゃんと受けまで作り楊枝の先で可動出来るように作りましたが今回はトランクが開閉しないのでダミーとして作りました。


 ボディー内側の塗装の様子です。
室内色はピラーの内側までオフホワイトの様なので、ウィンド枠のブラック塗装後にマスキングをそのままで更に艶消しのホワイト塗装をし、サイドの内張よりはみ出る部分には内張と共色を筆塗りして塗色が繋がる様にしました。

 いつもの様にターンテーブルに乗せて回しながら最終チェックをします、幸い指紋や埃などを取り除くだけで、どうやら収まりそうです、やれやれ。(-。-;)
 この後は例によってHPからの抜粋で、製作記をA4版の両面光沢紙に小冊子としてまとめ、ご依頼者にプレゼントするための編集作業に取りかかります。

で多数の拡大画像がご覧になれます。

こちら

完成です。

キット内容以外に使用した物


0.3oステン線、   0.4oピアノ線   2oプラ丸棒、   コピー用紙、   アルミ箔、   内径0.5o位のビニールチューブ、   0.2o厚アルミ板、  以上。  

製作後記

 久しぶりにゼッケン付きの車を作りました、この手の製作には独特の作り方が有るように思え、イマイチ得とく仕切れていない自分が有ることを改めて思い知らされてしまいました。
 内部の作り込みや、クリアー塗装にしてもまだまだ修行が必要で、今回の依頼者様にはお詫びと感謝の気持ちで頭が下がる思いです。
 納車された折りにはどうかご笑納下さいますようお願い申し上げます。