プロターなど縮尺の大きいモデルを作り慣れてしまうと1/12と言うサイズが本当に小さく感じてしまいます。
まして空冷ツーサイクル50ccエンジンのオフロードバイクで、タイヤサイズも小さいミニトレとなると尚更です。
なんだか自分がバイク模型初心者に戻ってしまった様な錯覚の中で・・・さて、どこから手を付け始めたらよいかしら。
まずはエンジンから様子見がてら弄り始めました。
部品構成は左右合わせのシリンダーとヘッドの3点、これを接着してから例によってフィンを削り込んでいきました、勿論シリンダーには内側にパテを充填して削り混みによって突き抜けても大丈夫な様に準備は怠りなく。
それにしても一辺が1センチにも満たない立方体にスッポリと入ってしまう可愛らしいシリンダーには思わず微笑みさえこぼれそうになってしまいます。
元のモールドの倍以上の深さに削り込んだシリンダーとヘッドフィンは、下手に持ち方を間違えるとフィンがフニャっと曲がってしまいますから溝が深くなるにつれて慎重にならざるを得ません。
何だかんだ言いながらもクランクケースやクラッチカバーまでトーンを変えたシルバー塗装が終わりました。
右カバーの中にはオイルポンプが内蔵されているのでコントロールケーブルやオイルパイプがケース上部から内部に入っています。
その部分も省略されてしまっていますからこの段階で再現しなければなりません。
左カバーに付くクラッチケーブルを残してパイピングが終わったところです。
小さいながらもいろいろ太さの違うチューブを選んで取り付けています。
この時点から少しだけウェザリングをして光加減を押さえながら進めていこうと思います。
だいぶエンジンらしくなってきました。
エンジンが出来上がりフレームにマウントしました。
多少会わない部分や隙間などを瞬着などを使って埋め、ボルト類をシルバーに塗りフレーム部分は完了。
スイングアーム、リヤサスを仮組みしてスイングアームのみ固定してリヤサスのディティールアップをします。
小さなホイールの改造
同じ1/12の縮尺でも左のアオシマSR500のホイールと比べると大きさの違いは顕著で、いかにGT50が小さな車体かが分かるかと思います。
とは言え後輪同士で比べた場合SRは18インチ、GT50は14インチの違いは有りますが。
今回は久しぶりの1/12ですが、今までのようなスポークを片面づつ張り替えて最後に左右を貼り合わせる方法を取らず、1/9と同様にリムとハブ(ドラム)を部品として完成させてから組み上げる方法にチャレンジしてみようと思います。
@
A
B
C
@はキットその物のモールドで既に左右を接着しています。
Aではスポークの入る穴を開ける準備で、ドラムに掛かるスポークのモールドを少し平に削ってマーキングを行い易くしています。
貼り合わせが終わり接着部分が完全に固まってからスポーク部分を取り除き、ドラムに有るスポークのモールドも綺麗に削り落としました。
この段階でリムの形状がおかしい事がお分かりだと思います。
リム中央部の突起形状はこのままでは工作の妨げになるばかりですから、削り込んで修整する事にしました。
中央部の形状は実物と同じように低くして丸みを出しました。
また、全体に角を落としてスチールのメッキホイールらしくするための手を加えました。
次は穴開けです。
合計32本のスポークを通すための穴開けは一度に空けようとするには混雑し過ぎと思い片側16本づつ印を付けておきます。
リムの加工は縮尺に関係なく同じ加工を施します。
ただ小さくなっただけですが、その分正確さを出さなければならないので慎重な工作になります。
リム裏側の接着剤溜まりの丸い窪みを掘るビットも、1.5o径の小さな物を使います。
小さい部品に表面ギリギリに掘る工作は目が疲れますが、重要な工作なので緊張の糸は切るわけにはいきません・・・目がグ・ル・ジ・イ・・・。
いつも作る治具は1oのプラを2枚重ね、オフセット分の0.4oを浮かせるために薄いプラ板で調整します。
これで準備良し。
パターンシートを敷いてドラムを固定、リムを正確な位置で治具に嵌めてスポークにニップルを付けて仮組してみました。
結果全て良し。
片面の工作準備は整いました。
反対側はオフセット量が著しく違うため、この治具を嵩上げ修整して使うことになります。
前輪はホイール径が15インチのため、治具も新規に作らなければなりません。
これで塗装に移行出来ますね。
1/9プロターと全く同じ方法で全て順調に進み、何のトラブルもなく完成しました。
ただ、それぞれの部品の大きさが僕の手や指には小さく、摘んだり工作するためにホールドするときに太い指が忌々しく感じた程度でした。
1/12サイズの後輪としては最小の部類に入るのではと思われるGT50のリヤホイールを経験したことは僕にとって大いにプラスになりました。
と言うことで前輪も作るとしましょう。
フロントホイールが出来上がりストラットを作っています。
ストラットのインナーチューブの径は2o、結構柔らかい材質で一本だけ弄っているとフヤフヤと弱々しく心許ない感じですが敢えて材質を他の物に換えずこのままの材料で進めていきます。
それにしてもメッキが掛かってる所為かモールドにメリハリが無くパーティングラインの突起も大きいので、いつものようにメッキを落としモールドを整えて塗装で塗り替えで表現していきます。
メッキを綺麗に落とし、彫り込む部分は彫り込み削る部分は薄く削り込んでモールドを直します。
今回のメッキ落としはカッターでそぎ落としました。
ハンドルフェンダーステーなど非常に細いモールドは折れない様に形を修整するのに神経を使います。
それぞれの部品毎に塗装が進んでいます。
二つのハンドピースをメタリックとソリッドカラー用に使い分けているのでソリッドカラーにメタリックの粒子が入らない分気楽に吹いていけます。
塗装色はカスタムペイントと言うことで遊び半分に塗っています。
大まかな塗装が終わり細かい部分の塗り分けを済ませればサッサと組み立てです。
それにしても小さく細い部品は一発で位置が決まらず、おっかなびっくり折れないようにそーっと組み付けています。
小さいながらもチョットだけカラーリングで遊んでいます。
デカールはGTとYAMAHA のロゴだけなのと実車は単色のカラーなので面白味が欠けます。
マスキングでの色分けですが、タンクの大きさは親指の頭ほどもない大きさなのでチョット難しかった。
何とかモチベーションを維持しようと色々余計な事をやっているので本当に時間が掛かってしまいなかなか進まない状況に陥っています。
そんなこんなで一応仮組状態でここまで来ました。
インストではタンクは左右別々に塗装してフレームのピンに差し込んで接着する様になっているところを、そんな作り方なんて有るかーっと反発していつものように作り、接着方法を考えなければならず、シートは糊代が無いのでそれも考えなければどうにも取り付けようが無い。
そんな事をアレコレやっている精神状態、仕上がりに影響するんだろうなー。
何とかモチベーションを保ちながら完成に向けた工作を重ねています。
マフラーの溶接脈を再現したりハンドルやレバー、ケーブル類の取り付き部にアジャスターを作ったりといつものように補足的工作の連続でほぼ完成形に近づいて来ました。
ブレーキとスピードメーターケーブルを取り付けました。
ブレーキアームは途中までのモールドを切り落とし、ケーブル止めとスプリング、アジャストナットなどを補足しました。
ミラー部品も円盤から棒が伸びている様な物を、ステー部分を切り落として0.5oバネ線で作り直して立体感を付けました。
ミニトレの完成です。
最後に残っていたテールランプやウィンカーランプなどを作り、メッキ塗装を施して取り付け完成です。
メーターデカールだけの文字盤はデカール保護のためにエナメルクリアーで覆いメーターガラスとしました。
アクセルケーブルの巻き取り部分は反対方向にモールド有ったため、プラ板で工作して正規の位置へ。
ブレーキ、クラッチワイヤーのレバー取り付き部にアジャスターを補足。
シート面とシートバックの繋ぎ部に斜めに走るモールドを補足。
糊代の無いシートは裏側にフレームと接触するプレートを設け接着することで解決。
リヤブレーキロッドは0.5oステンバネ線に置き換え、リターンスプリング、ストッパー、アジャストナットを追加。
サイドカバーには分離給油のオイルタンクが有り、残量を見る丸い窓が存在するが省略されているのでクリアーランナーを利用して再現。
まふらーの周囲には溶接脈が走っているので伸ばしランナーを張り巡らして再現、同時にエキゾースト部分の焼け表現のため焦げ茶色でボカシを入れて再現。
マフラープロテクターの肉厚が分厚いので裏側からスリット部分を薄く削り全体の薄板表現をしました。
チェーンはほぼ部品そのままを使いスプロケットの歯部を削って修整しています。
同時にオイル汚れの表現をしてあります。
1/12サイズのスポークホイールバイクとしてはおそらく最小のモデルだろうと思いますが、最初にキットの箱を開けた時の印象はどの年齢層を対象に設計したのだろう?でした。
ミニトレの実車に憧れていたり保有していたりした若い人たちが、同じバイクの模型を作りたいと思い、このキットを作っていたら・・・おそらくバイク模型は嫌いになってしまったのではないかと危惧させる様な・・・考えすぎでしょうかね。
そんな内容のキットでしたが、手がける以上は何とか実物のイメージを出そうといろいろ手を加えましたが基本的には削り込みを主体とした素組+α程度。
省略されている目立たなく細かい部品を追加製作、ライトリムとミラー面を除いたメッキ部品は全てメッキを落として塗装にて金属表現と過度にならないようにウェザリングでオーナーが楽しみながら乗り回している様子を表現してみました。
YAMAHA GT50 専用Gallery Enter