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言わずと知れたR100RS、年代によって大きな変更点が有ります。
第1期 76’〜84’ 70ps/7250rpm 第2期 86’〜90’ 60ps/6500rpm
前期から後期への変更点は多岐にわたり、此処では書き切れません。
外見上の違いは下の写真(愛車)を参考にすれば有る程度分かります。
製作を始める前に各部品のチェックをしますが、真っ先に目に付いた物が2点。
その1はキャストホイールの押し出しピン跡、何と片側だけでも40箇所。
へこんだピン跡を全て綺麗に直せるか甚だ自信は有りません。
しかし、何とかしなければ先には進めない・・・いきなりどうしよう・・・ため息が出ました。
その2はタイヤ、2本共見事な歪みです。
ホイールに履かせて見なければ何とも言えず、早々に仮組みしなければなりません。
それにしてもモールドもだるく、サイドのモールドは何にも有りません、せめてメーカーのロゴくらいはモールドして欲しいところです。
ホイールを貼りあわせてタイヤをセットしたところ使えそうなのでホイールの修正に取り掛かりました。
リム部分に有る押し出しピンの跡は10箇所、その穴に瞬間接着剤を盛って削りますが、リップ部のモールドもいい加減なので全周にわたって削りましたが上手く行きません。
この部分を均一に削る刃を考案して作るしか無いようです。
このホイールを完成させるには何回か試行錯誤を強いられそうで、キャストとしてだけでなくスポーク仕様に変えてしまう事も考えに入れようとしています。
スポーク仕様も素敵で私好みなんです。
本当なら自分の愛車そっくりに作りたいのですが、タイヤのインチや足回り、外装などが全く異なるので諦め、キットを大事に作ろうかと思っています。
こうなったら執念とばかりリム部分だけでもと修正を繰り返し、何とか許容範囲にまで漕ぎ着けましたが、自作の刃が無ければ不可能でした。
しかし、中のスポーク部分まではとても根気が続きそうも無いので、あれこれ悩むのは止めにして思い切って切断削除としました。
こうなったらもう後戻りは出来ません、リムはベース、ハブはスクラッチ確定です。
取りあえずリムだけに集中してスポーク用リムに改造することにします。
傍らの砥石で対象物に相応した刃を沢山作る事になり、ヤスリと自作刃をフル動員しなければなりません。
キャストスポークのモールドをザッと削り落としました。
リム中央を幅いっぱいに横断するスポークの根元を削るのが一番手が掛かり、しかも平面をつなげなければならないのでこれからが大変。
既に刃は用意出来たので慎重にスタートです。
かなり時間を掛けて削りました。
キャストスポークの根元は丁度板の木目の中に有る節の様な物で、硬く削りにくい所です。
刃を立てて削いでもそこだけ残ってしまい、全体に凸凹になってしまいます。
その凸凹を残さないように刃を寝かせて薄く削りながら一方で削ぎながらの繰り返し。
やっと及第点に達したので40箇所のスポーク穴を開けました。
多少の荒れ肌ですが、後は塗りでカバー出来るでしょう。
これよりももっと手が掛かるのは、ストレートスポークが刺さるハブのスクラッチの方です。
完全な平面とはいきませんが及第点に達したので塗装して終わらせました。
この後ハブ、ドラムの完成待ちとなります。
エンジンのクランクケースは左右の部品で二つ割、ミッションケースの蓋とオイルパンで4つの部品から構成されています。
シリンダーはフィンを積層して最後にヘッドカバーを重ねる構成。
ビング・キャブレターは4つの部品から、インシュレーターは左右の貼りあわせからなります。
モールドの乱れや左右の合いが悪い事、インシュレーターの長さや形状が全く出鱈目で組めない事などは流石にエレール、「俺はエレールだ!、タミヤと違って何が悪いってんだ、嫌なら止めるんだな」ってなもんで、ダメ押しにヘッドカバーはご覧の様に完全に斜めにズレて組み付いてしまいます。
さて・・・、この部分どう料理すれば良いか・・・ホイールに続いてエンジンもか〜・・・。
取り掛かったばかりなので他の部品の検証はしていない段階でこの状況は、前途多難になる事は容易に判断できます。
フラットツインエンジンの一番のアイポイントは何と言ってもヘッドカバーだと思います。
キットのカバー部品は4点、フィンの切り欠き位置と形状さえ正確なら問題は無かったのですが・・・。
どうせ修正するなら愛車のヘッドカバーと同じ旧タイプの丸型にしようと思います。
出来るだけ楽に工作がし易い材料を使いたいので、時折使うケミカルウッドで成型を始めてみました。
自作のいろいろな刃先のカッターを使って削り出し、側面のフィンを削る段になって断念。
0.4mm以内の薄さを保って奥深く削る事は不可能であり、ただ削りこむだけの造形では無いのでこの際潔く諦めてプラ板工作に移ります。
プラ板なら折れたり割ったりの心配はそんなに気になりませんが、組んだりばらしたりを何度もする手間は半端では有りません。
大まかに切り出した板を重ね、プラ板から削り出したカバートップの丸い膨らみを重ねて実物と見比べています。
簡単な造形に見ていたカバーも実は結構複雑な形をしているのに改めて気が付かされました。
本組みのために、切り出した部品を整形しています。
トップの丸い部分は二つの部屋の頂上で、下に行っても部屋は分かれたままなのでスペーサー部分も分けて作っています、
フィンも実際は中央部分が肉抜きされていて、一番上と一番下だけが肉抜きの無いプレート状をしています。
切り出して整形を終えたプレートを積み重ねて接着、その後も微調整の修正を加えて積層作業は終了しました。
最後にヘッドカバーを縦断する2本のフィンの合わせ曲面を現物合わせで切り出して接着、最終的な削りが待っています。
全ての削り作業が終了しました。
中抜きというのはコブとコブの間の事で、フィンの間から向こう側が見えるということ。
最初に考えていたよりもなかなか難しい造形でしたが、手間を掛けた甲斐が有りました。
やっぱりフラットツインにはこのヘッドカバーがベストマッチでしょう。
後はセンターにクロームメッキを施された締め付けボルトを付けるだけです。
ヘッドカバーが出来たと言っても必ずしもキット部品とピッタリ合うとは限りません。
ヘッドカバーは実物部品の寸法通りに作りましたが、キット部品との相性は・・・・。
やはりそこそこの修正をキット部品の方に施さなければなりませんでした。
しかしその手間も大した事は無く、目出度左右のシリンダーは完成しました。
ただ、キャブとインマニの合いは滅茶苦茶なのでキチッと直す必要が有り、それが出来て初めて目出度しとなる訳で、今喜ぶのはまだ早いと言えます。
シリンダーが取り付くクランクケースにも問題は結構有ります。
ダイナモカバーの直ぐ後ろには低い縦フィンが6本有りますが一部欠損しています。
プラ板を使ってフィンを補修していますが、それだけでは終わりません。
ダイナモカバーとクランクケースは面がつながっていて境が有りません。
またダイナモカバーを止めるボルトも有りません。
この時代のフラットツインは全体にのっぺりズングリした形状ですが、見えなくなる部分とはいえ正確に彫りこんだり補修したりすれば、実物を上回るのっぺり感の強いキット部品も少しはシャキッとするのではないかと・・・。
エンジンをフレームに載せるためにはプロペラシャフトのトンネルを兼ねたスイングアームも一緒に組み付けなければなりません。
シャフトのジョイント部に有るゴムブーツを止める金属バンドを追加してから仮組みをしています。
フレーム部品は長期在庫のためか、どの部分を見ても歪みが有って、直すのに一苦労しましたが結局フレーム下部が少し広がり気味で収束、後はエンジンを取り付けるボルトを改造して締め付けることにしました。
こういう作業をする度にプラモデルは生ものなんだなぁと実感させられます。
BINGキャブとインテークマニフォールドのインシュレーター。
キャブは引けが多く、チョークワイヤーやスロットルケーブルが取り付くブラケットも有りません。
裏側にそれらしいケーブルが刺さる穴が数箇所開いているだけ。
フロートチャンバーを止めるフックも有りません。
全体的に見るとサクションチャンバーが大きすぎる様に見えますが、この際そこはスルーしましょう。
マニフォールドの方はそのままでは全く取り付けが出来ない形状で、少しずつ削って短くしたり合う角度を探したりして形を求めています。
また、取り付けバンドも少なくとも5本有りますがそのモールドも無いので、何かで再現したい箇所です。
キャブ取り付けに不都合だったマニフォールド・インシュレーターの修正が終わり、クランクケースだけをフレームに本組してシリンダーとキャブ周りを仮組みしています。
この部分だけを見ると、国内外のいろいろなプラモメーカーが同時代のフラットツインモデルを沢山リリースしていますが、エレールのモデルが一番本物に近いディティールをしている様に見えます。
ヘッドカバーを作り変えたからそう見えるのかも知れませんが、それを除いたとしても全体のバランスは抜きん出ていると思うのは私だけでしょうか。
上から見たところです。
左右のキャブの取り付き状態やインシュレーターのカーブ、合いなどをチェック。
後方から。
同じく傾きやつなぎ目の合いを見ています。
右側面。
接着前なのでエアクリーナーホールとインシュレーターのつなぎ目に僅かな隙間が有りますが、部品の自重で下がったものなので本組すると隙間は無くなります。
左側面。
ほぼ正確な形で取り付いています。
下側から。
ブッシュロッドの通るパイプのカバーは、特にクロームメッキ加工をされているわけでは無く、錆除け程度のメッキ加工のため色彩的には目立たない存在です。
キャブ本組に至るには、この先手を掛ける項目がいくつか残されています。
その一つはサクションチャンバー側面に有るチョークワイヤーとスロットルワイヤーのワイヤー留めです。
真鍮パイプを短く切って作っています。
キット付属のゴム質のケーブル類は使い物にならないので、代用品を用意しなければなりません。
それらの工作と塗装が終われば、シリンダーと共に本組みが出来ます。
キャブ部品に不足しているモールドを追加しています。
スプリングとフローとチャンバーのクリップ以外は全てプラ板で貼り付け、塗装の色分けで処理しようとしています。
スロットルとチョークケーブルのケーブル留めを作りましたが、ワイヤーの取り付き先が必要なので、実物と同じ様にそれぞれのアームやスプリング、アイドル調整のネジなどを作り足しています。
実車でもそうですが、キャブの内側はあまり目が届かない部分ですが、縮尺が大きいとこの辺まで作れるのが良いですね。
キャブの塗装は全て筆塗りで処理しました。
綺麗綺麗に塗るのを嫌い少しヤレた感じに・・・、下塗りに薄く延ばしたブラックを塗り、後は数種類のシルバーでドライブラシ、最後にインシュレーターを半艶ブラック、バンドをメタルカラーで塗っています。
アームやスプリングなどを追加工作したキャブの内側、もこの角度からでなければ覘く事は出来ず、カウルやタンクが付くとますます見えにくくなります。
エンジン全体が一望出来るのもこの段階で、カウルやタンクが付くとシリンダーの頭部だけが表に顔を出す程度。
このまま置いておきたい気分ですがそうも行かず・・・。
エンジンが搭載出来たので、今のうちに出来るパイピングをしておこうと思います。
これは燃料ホースです。
フェールタンクの下にはフレームを挟んで左右2個のフェールコックが有ります。
各々のホースからキャブに繋がれますが、途中に左右のホースを連結するパイプが存在します。
本当はHの字形状になるのですが、工作上面倒なので片側づつ作りました。
T 型のジョイントは真鍮でハンダ付けしたものです。
私の愛車はモノサスでリヤブレーキは効かないドラム式です。
ツーリングなどでは効きの悪さのため、それを補う為にエンジンブレーキを多用しなくてはなりません。
買った当初からリヤもディスクだったら良いのにと思っています。
そこで模型の世界だけでもリヤをディスクにしようと考えました。
実際にスポーク仕様でリヤブレーキがディスブレーキになっている車両は見た事が無いですが、カスタムでワンオフのハブを作れば可能だと思います・・・金額はそれなりに高価になると思いますが模型の世界なら話は別です。
そんな訳で、リムを切り離した残りの部品を使ってハブを作ってみましょう。
キャストスポークのモールドをすっかり削り落とし、スポークの刺さる部分をプラ板で作りました。
BMWのスポークは引っかかりの無いストレートスポークを使っているので、このモデルも前後輪のハブはそれ様のハブを作ります。
同時に合いが最悪のデフケースの隙間を埋め、各ボルトやデュフェーザーをプラ板を使って作り直しています。
ハブを作り変えたので、計算上合っているとは思いますが念のための確認です。
車体中心線と同一線上にタイヤの中心線が来ます様に・・・、大丈夫みたいです。
前後のハブが出来上がったのでスポークを張りエアバルブを取り付けてホイールが完成しました。
今回使ったスポークの太さは0.5mmのステンバネ線ですが、若干太めになります。
ピッタリサイズのバネ線が無いため、0.4mmでは細すぎるよりは、近いサイズの方を選択しました。
ごっつい車両には適切かも・・・。
早速タイヤを履かせての仮組みです。
実車でもそうですが、ドライブシャフトのトンネルとタイヤとの隙間は指1本入るか入らないか位の僅かでしか有りません。
従ってメーカー指定サイズ以上の太いタイヤを履こうとすると接触する可能性が高いのでむやみに太いタイヤは選べないのです。
こうやって仮組みしても、実際の隙間に見合う程度の隙間しか無いので、そのモールドの正確さは見事と言えます。
シートレールをつける前にバッテリーを乗せるため、バッテリーホルダーを作りました。
プラ板とピアノ線で実車と同じ形状にしてありますが、完成したらピアノ線の下部しか見えなくなってしまいます。
バッテリー本体の色は、私の愛車同様真っ黒なMFバッテリーにしています。
バッテリーをフレームに固定しました。
実際にはフレームの幅がバッテリーがギリギリ通るほどの幅なので、ターミナルにつながる配線が多い場合などは脱着に少々手間取ります。