製作奮闘記

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 プロターの3作目はMVアグスタ500 4cilです。
 昔トリコロールの丸いタンクのアグスタに心惹かれ、迫力に美しさをプラスしたエンジンの形がとても気に入って、ずっと眺めていたいと憧れた時期がありました。
 その750sの親とも言うべきモデルが今回のキットです。
 このマシンの詳しい解説をするほど知っている訳ではないのでココでは控えますが、当時憧れていたライダーG・アゴスチーニやM・ヘイルウッド、T・プロヴィーニなどがライディングしたマシンを是非作ってみようと選びました。
 早速箱の中の部品達とご対面して、あれやこれや疑問だらけの部品達と問答をはじめました。
 いつの間にか僕の後ろで、肩越しに僕の手先を覗いているプロヴィーニおじさんが居る様な気がして・・・何となく話し相手が傍にいるようで嬉しくなってきました。

いつもの様にホイールから、でも、いつもと違うぞ・・・。

 部品達を粗方見回したところ、自分が思う形にするために直すべき部分の多さに驚きを覚えると同時に、これは一筋縄には行かないことを思い知らされました。

 数ある問題箇所の第一として、いつもの様にホイールの問題から片づけることにします。

 ホイールの何が問題かと言うと、ブレーキドラムが脇のスポークが嵌る部分より高くなっていて、内側からスポークを嵌められない事です。
 そこでネット検索をして調べてみました。
 確かにドラムと脇がツライチの画像も有りましたが殆どの写真は脇の部分の方が高くなっていて、個体の違いが有る事を知りました。

 そこで、今回作るアグスタ500は、何処のレースで誰のライディングと言う限定を無しにして、あくまでも僕がイメージするアグスタ500にしてみることにします。 

 ドラム部品が使えないため、0.5oと0.3oのプラ板積層でドラムを作っています。

 違和感ない大きさに設定してプラ板にデバイダーで直接罫書いて切り出しています。

ドラム裏側のモールドは全て削り落とし平面にします。

 作ったドラムを組み込み接着して・・・。

 ホイールから切り離し、軽め穴とスポークの掛かる穴を開けて取りあえず完成。

 軽め穴のモールドはフロントは凹モールド、リヤはどういう訳か凸モールドになっています、凸モールドの方は厄介だなー。

 問題はリム側にも有ります・・・。

 ニップル根元の膨らみを工作の基準にしていますが、問題は等間隔になっていない事です。

 内外4本のスポークを1グループとして、等間隔に強引に合わせようとすると、1箇所だけ横に並んでしまいます。

 全周にすると10箇所になってしまい、不自然極まりない形になってしまうため等間隔に直すことが必須となります。

 目分量で印を・・・そんな事出来るわけが無いので・・・。

 パソコンの製図ソフトで、片側20本分のニップルの位置を示すための図を作ってこれを定規にしてトライしてみます。

 定規を当てて調べてみると矢印の先端がニップルの位置になることが判明、ニップルの根本の外側が正規の位置。

 検証してみるとリム裏側を基準にして表面に間違えて線を引いた様ですね。

 リムを貼り合わせ表面を平にする前に、放射状の定規でリムにマーキングをした後、スポークのパターンを書いた紙の上で実際にスポークが通る方向に合わせて0.5oのドリルで道穴を開けておき、それから平に整えます。

 どうせですからもう少し工作してみます。 

 0.3oのプラ板を細く切りだし、両端を斜めに削り扁平な台形にしておきます。

 リム中心の肉厚を稼ぐためと、平に削ったため表情が無くなってしまったのを補うために、切り出したプラ板を中心線上に貼り付けました。

 次に0.5oプラ板を使ってこんな具合にリムのサイド形状に合わせて切り出し、端を斜めにカットしてスンナリト落とし込めるようにして具合を見ています。

 上手く決まれば次に行きましょう・・・ 何に拘っているのかって?

 一度作ってみたかったんですよ普通のリムを H リムに作り替えることを。
 失敗覚悟でやってみなければいつまでたっても出来ませんからね。

 作ってみてまた一つノウハウが掴めるんじゃないかと思って、先を急ぐ必要も無いし。

 硬化したらプラ板の角を落としカマボコの様な形にして・・・。

 ニップルの通る0.8oの本穴を開けておきます。

 貼り付けた円盤の内側からくり抜き形を整え、リムとの内側のコーナーに細ーく伸ばしたランナーを貼りました。

 内側のRを作るためで、このRを出すために刃をRに合わせて作り削っています。

 何とか小文字の「h」まで出来たようです。

 手間は掛かったけど、やれば出来るもんですね。

 塗装後の具合がまだ分からないけど一応これでフロントの出来上がり、これを踏まえてリヤを作ってしまいましょう。

 ニップル根元の膨らみはこの際オミットして、さんざん削って傷だらけになった内側の面の滑らかさに重点を置いて工作しました。

 それでも塗装してみると粗が見え見えでこの状態に持ってくるまで時間を掛けて塗装と乾燥、ペーパー掛けを数回繰り返しました。

 いつものように治具に嵌めて固定してから0.4oステンバネ線で、ニップルは0.8oビニールパイプを4oくらいの長さに切って使っています。

 出来上がって見るとスポークの位置も正しい位置になっていて気持ちがよいです。
 この方法、いつか機会があったら 1/12 でも試してみたいですね。

 取りあえずフロントを作っただけでリヤは張るだけですから、エアーバルブを作って取り付ければホイール部品は完成ですが、これに付随するブレーキパネルの工作はやはり頭を悩ませる工作で、もうずーっと頭の中で考えてしまっています。

 エンジン主要部品を仮付けして全体の格好やバランスを見ています。

 最初に感じる事はシリンダーフィンが大雑把で、アグスタエンジンの特徴とも言うべき肉厚が薄く間隔の詰まった繊細な感じのフィンのイメージでは無い事。

 ヘッド部は許すとしてもシリンダー部分は今までの様に削り込んで彫りを深く、薄くするだけでは再現出来そうにありません。
 かえって間延びした隙間だらけの物になってしまうでしょう。

 その他省略されているモールドが有るので、思い切ってエンジンにメスを入れる事にしました。

 初めてチャレンジする事なので上手く行けば良いのですが・・・。

 エンジンを分割する前にキット部品をキッチリと接着してから、各部分の寸法を控えて置きます。

 いよいよエッチングソーで切断に入り、この様な状態になりました。

 4個の部品はそれぞれ独立した部品になる様に・・・これから気の遠くなるような工作の始まりです。

 エンジンのディティールをいじるのは、どの部分をとっても手間が掛かるのは同じですが、最初に一番手が掛かりそうなヘッドから工作を始めました。

 このヘッド、よーく見ると吸排気バルブの仰角が実車より少し広い様ですが、そこまで直すとなると完全にスクラッチしなければならなくなり、どうしようかなーと迷いましたが細かい彫刻を再現するにはまだ僕には早いのではと思い、キットをそのまま使う事にしました。

 その代わりディティールを出来るだけ近づける努力をしてみようと思います。

 最初にカムカバー真上を縦断する部品同士の合わせ部分や、サイドの合わせ部分を綺麗にし、後で作り直すため両サイドのフィンのモールドを切り落とし、一枚だけ有る底辺のフィンも削り落としました。

 裏側は削って均した分を補うのと後々接着しやすいようにプラ板を貼ってあります。

 シリンダー両サイドのフィンを作っています。

 細い方は0.5oでフィンとフィンの間に入り、大きい方はフィンで0.3oプラ板を使っています。

 よく調べたところ、このエンジンは同社ジレラ500のエンジンと一部金型を共用しているのではないかと思われるふしが有ります。
 このキットがジレラ500なら気が付かなかったかも知れませんが、最初からどうもおかしいなーと思っていたのでいろんな写真を調べてみて、ストックしているジレラ500のキットを調べて納得しました。

 MVはジレラのエンジニアやマーニなど多くのエンジニアを引き抜いてレース活動をしていたと聞いているし、ジレラのエンジンに酷似しているとも聞いています。
 だからと言ってジレラと全く同じと言うことは有り得ないと思いますが、機密保持が厳しいMV、カウルの中を見ることは当時としては難しく記録も公になっていなかったのでしょう。
 そんな訳でいろいろ細かい部分が自分の思う物と違うので独断で直しに掛かっているところです。
 この写真では、プラグの位置が違うので一度伸ばしランナーで穴を塞ぎ冷却フィンを深く掘り直しているところです。
 プラグ位置は燃焼室中央ではなく、外側方向に寄って付いている事まで解っていますから、おおよその見当ですが現在の位置より外側に付け直す工作をします。
 一番外側のプラグは作り直したフィンに接近した位置なので、フィンの中央部は逃げのための切り欠きが有ります。
 カムカバーも中央部に4本のボルトが有り、モールドの追加が必要です。

  ヘッド中央部の溝を深く彫りフィンを浮き立たせてからプラグ穴の位置を今より外側に開け直し、スタッドボルト穴も開け1.4o真鍮パイプを埋め込みました。

 カムカバー中央のモールドをパテで造作して形を掴むため着色して見ているところです。

 概ねイメージ通りに推移しているのでもう少し手を入れてから、カムカバー取り付けナット(片側12個)を作って取り付けます。 

 ヘッド裏側には吸排気口の膨らみが有ります。

 シリンダーフィンは、それを逃げるように上部2枚に切り欠きを作っていますが、シリンダー作りはヘッドが終わってからにします。

 工作はプラ板を積層し、削り込んで作って有ります。

 ヘッドとカムカバーの分割線を彫り、プラ板から切り出したカムカバー取り付けボルトを付け、タコメーターケーブルの取りだしのための道穴を開けました。

 最後に両サイドのカムの蓋にワイヤリングをして取り付け、全体を濃いめのフラットブラックでウォッシング、更にメタル系塗料でドライブラシをしてヘッド部分が完了です。

 その下の部分、つまりシリンダーですが、当初考えていた形とは若干の違いが生じ、再検討を余儀なくされています。

 どうしてもシリンダーのフィンは下に向かって小さくなる様ですので、試作をしてから本番にしようとしています。 

 シリンダーを作っています。

 シリンダーのフィンは下から上に向かって末広がりに若干広くなっているので、フィンもそれなりに大きさを変えて作る事になります。

 一番上と、一番下の寸法を決め、中間は準じて適当に少し大きめに切り出し、後は上下のフィンでサンドイッチにして端面を段差無くヤスリを掛けて大きさを出しました。

 シリンダー部分は単なる筒なので均一な円状にするために重ねてヤスリを掛けて仕上げています。

 ちょっと仮組して様子を見ています。

 自分の計算での大きさが妥当なのかは、やっぱり全部を重ねてみて全体像を見ないと

 どうやら上手く行けそうな感じなので、クランクケースアッパーにあるカムギアーのトンネルを補修して正規の高さを出しておきます。

 心棒には2oのプラ丸棒を使い軸沿いに流し込み接着剤を付け、圧着して左右のシリンダーが取りあえず完成して仮組をしています。

 左右のシリンダーの高さと中央のトンネルの高さが同一になっているか、シリンダーにねじれが無いか等をチェックしておかないと後で泣きを見てしまいます。

 シリンダーを少量の接着剤で点付けしてからヘッドを仮組しています。

 各マニホールドとフィンの逃げのための切り欠き部分との位置関係確認で、若干の修正をここでしました。

 初めてこの様な工作をしましたが、10o弱の高さに合計23枚のプラ板を使いキチッと形を出す作業はなかなか根気が必要だし、時間の無いときには出来る工作ではないですね。
 何れにせよ何でも覚えておけば何かの役には立つんでしょうが、少々疲れますよん。

 シリンダーに目途が付いたので次にミッションケースとクランクケースを接着して、そこに出来る大きな隙間をパテで埋め一体化させました。

 また、クランクケースの上下分割ラインをキットモールドを信じて多分此処だろうというところに彫り込みました。

 オイルパンには冷却効果を狙ったフィンがある筈なのですが細かい段々が付いているだけなので0.3oプラ板を細ーく切りだし、段々のモールドに沿って一本一本貼り付けてフィンを作っています。

 大きく曲がる部分がややもすると千切れてしまうので予め曲げグセを付けて置いてからサラサラタイプの接着剤でゆっくりゆっくり貼り付けています。
 等間隔に一直線に貼るのは結構大変、この3本貼って今日は仕舞いとします。

 オイルパン冷却フィンを全て貼り付けたままでは深さが足りません。

 シリンダーフィンを削る要領で、今度は深さを出すために彫り込みます、と同時に溝幅の不揃いなどはこの工作と同時に済ませます。

 この辺の形状の資料は全く無いので想像でしかありませんが、いずれにしてもエキゾーストパイプなどで大半が隠れてしまう部分なので、そう目立たないだろうと安易に考えていますがどうなんでしょうか。

 エンジンを逆さまに見ています。

 オイルパンのフィンが後部の立ち上がり部まで有るかどうか定かでは有りませんが、多分有るだろう事を想定してフィンを作っています。

 ドレンボルトは左サイドの下部に有る様なので、底はフィンだけの造形にしました。

 多少プラ板の白色が不揃いな間隔のように見えると思いますが、色づけしていまえば目立たないし、まして底部はもっと見る機会が無いのでこのくらいで良しと致します。

 オイルパンの工作が終わったので、次にクランクケースのアッパーボディーにヘックスボルトに見立てた0.8ミリのアルミパイプを埋め込みました。

 これで次に各部分の塗装に入ります。

 シリンダーとヘッドを接着して塗装をしてみました。

 シルバーを基調にブラックを混ぜたり赤みを付けたりして全体に艶を消し塗装をしてからエナメルの艶消しブラックでウォッシング、その上にメタルカラーでドライブラシをして感じを見ています。

 部分毎に少しだけトーンを変えて質感の違いも付けて見ました。

 キットのままの状態よりも大夫印象が変わって、それらしく見えて来たんじゃないかしらん?。

 この後、デスビやクラッチ等の部品を工作してエンジンを完成させなければ。

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 アッサリとしたデスビ(左)とキャブレター(右)。

 デスビのキャップには固定ナットの頭と、配線の足を付け、キャブのファンネルは内面がガタガタなのを滑らかに削り、更に肉厚を薄ーく削っています。

 キャブをエンジンに組み付ける前にフレームと緩衝しないか確かめる必要が出てきました。

 キャブレターのモールドは裏側に押し出しピンの凹み跡が3箇所も有り、金型のずれも有るので、簡単な造形とは言え丁寧な修正が必要です。

 黒く塗られたインシュレーターは、キットのモールドを変えて中間を4oのアルミパイプを使って作り直してあります。

 ファンネル部を除いて各部分の構成部品毎に色を変えて塗装を施し、ウォッシング、ドライブラシなどをしてメリハリを付けてみました。
 
 下の部品はキット部品その物です。


 しかし、よく考えてみるとの部分にスロットルシャフトの受けが有るのは構造上変ですねー、これではキャップが外せませんから要改造でしょう。

 と言うわけでキャブリンケージを作る事にしました。

 使う材料は0.8oアルミパイプと1oの真鍮パイプ、シャフトは0.8o真鍮パイプを使ってこんな風にしました。

 アーム部分は真鍮パイプを潰し、先端部分を広げアルミパイプを挟む様にして0.5oピアノ線でピンを作り、通してつなげています。

 仮組してみました。

 概ねこんな具合で良いのではないでしょうか。

 問題は、シャフトを何処にセットすれば良いのかハッキリしないことですが、この辺はタンクの下に隠れてしまう部分でもあり、そんなに拘らず妥当と思われる部分にフランジを作ればよいわけで・・・極めていい加減。

 リンケージは形状を見直し、材料を換えて作り直す事にしました。

 その前にフロートチャンバーを取り付け、キャブ本体を完成させておきました。

 ファンネルはアルミ風塗装として磨いて艶を出す塗料を使いました。

 スロットルバルブを引き上げるアームをアルミパイプで作り直し、肉抜きの穴を開けてそれらしく見えるように加工してみました。

 真鍮パイプはそのままで、スロットルケーブルが掛かるアームも作り、後はこのシャフトをホールドするホルダーを何処に作るか検討しなければなりません。

 後世のアグスタ750Sなどは吸気側カムカバーにホルダーが有るのですが、同じ方法なのか判別不能で、ここでも創造性を働かせてデッチアップしようと思っています。

 シャフトの位置や、その他関連する工作のための位置関係を確認するために仮組をして見ています。

 キットの部品はこのセクション分は全部使い切りましたが、まだこれからも少し加えなければならない部品が有るみたです。

 自分でも何だか良く理解出来ない物を作っています。

 この部品が取り付く場所は、多分デスビの後部からキャブインシュレーターの外側を回り込む様に上方に伸び、カムカバーの両端付近に先端の半球形部が位置する様に付いているいる物です。
 どうやら何かの役目を負ったホースの様で、ラジエターホースの様に表面がのっぺりした物や、蛇腹ホースの様な物が有ります。
 クランクケースの内圧を逃がすための物か、先端のフィルターの様な穴の空いた部品は何なんでしょうか???解りません。
 この部品は、3シリンダーにも有り、また、ジレラ500ー4cilにも存在します。
 もっともジレラに酷似しているエンジンなので当然かも知れませんね。

 ここでは2oプラ丸棒でホース部分を作り、3oプラ丸棒で先端の部分を作り、表情を付けるために細い銅線を巻き付けて蛇腹風にしてみました。
 先端の部品の近くにはカムカバーボルトに共締めするための小さなプレートをアルミ板で作ってあります。

 先端部分をシルバー、全体を艶消しブラックに塗ってエンジンに装着しました。

 フレームに仮組をして配線の通り道を探しています。

 少し改造を施したフレームですが、このフレームには資料写真と大きな違いが有るのを発見してしまいました。
 それは後ほど・・・・。

 プラグコードを付けました。

 コードの色は赤、黄、黒、いろいろ存在した様ですので、この場合は黄色にしてアクセントを付けようと思いました。

 キャブリンケージホルダーは、結局タンクの下になって見えなくなってしまうのと、瞬着で付けてみたらシッカリと固まってしまったので、このままで良いかって事で・・・・、手抜きです、突っ込み入れて下さい。

 さあ、これでほぼエンジンは完成しました、後はフレームを直さなければならないのか、スイングアームピボット部分の修正ですからそう簡単にいくとは思いませんが・・・。
 少し検討が必要です。

4 cil
Agusta 500

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