フレーム幅などを変更していることとキット部品の形に違和感が有るため、ここから先の工作のほとんどが部品を作らなければなりません。
手始めにシートとシートエンドを作ろうとしています。
シートエンドの丸い形状をどの様に作ろうか、試しにRC166のシートエンドを作った時と同じ様に1oプラ板を火で炙り、ケミカルウッドで作った型を包み込む方法で試行錯誤してみました。
結果、大きさと形状の差がRC166の場合とは大違いで、何度か試しましたが皆皺だらけになって材料の無駄。
考えた末、手間は掛かりますがプラ板を積層してブロックを作り、そこから削り出す方法で何とか形を出してみました・・・ ヤスリ掛けで手が痛いです。
シートエンドに目途が付いたところで次はシート作りです。
シートエンドに被さる部分は、本来皮張りで形状も少し起伏が有るふっくらした形をしています。
その感じはこの部品をベースにポリパテで盛り付け、削って形を作る工作をしていきます。
因みにベースには1oプラ板、シートエンドに被る部分は0.3oプラ板を使っています。
大まかな部分でベースが出来て来ましたのでフレームに最後に工作したR形状の部分とのフィッティングを見ています。
シートエンド幅はフレーム幅ギリギリの寸法で厚みが非常に薄くなっている様なので、シートエンドを同じようにギリギリの寸法で作って内側から薄く削り、0.4oほど厚みを残し仮組しています。
塗装の関係でシートとシートエンドは別々に仕上げ、最後に合体させてからの組み付けになります。
シートの厚みや起伏をどうやって作るか、パテで盛り付けて削って作る方法も考え試作を作ってみましたが、どうもシックリしないのでプラ板の積層や箱組みで作ってみようとトライしていますがまだ途中です。
革張りのシートはフレームの一部まで覆っている部分も有るため、どんな風に作って良いやら・・・。
シートはその部分も含めて単体で作らなければなりません、パテ工作ではその部分が上手く出来ないのがプラ板工作になった理由です。
その表現、結構難しい・・・。
シートの裾部分の形状をパテで作っています。
フェールタンクとの境の僅かな隙間にチラッと見える程度の革張りの端部分ですが、大げさにならない様に控えめにしたつもりです。
こうやって作ってみるとこのシートはパッド部分が二部構成になっている様で、流石イタリアン、結構手の込んだ作りだと思います。
シート部分の完成(仮組)です。
前回の工作に加え、全体にもう少しパテを盛り付け革張りによる丸みと柔らかさを表現してみました。
裾周りにはステッチ糸を描くため僅かに筋彫りをしてエナメル塗料で墨入れの様にして色を付けています。
シートエンドはこの後フェールタンクと同色にするため色目を変えるので、暫定色ということで磨きなどの仕上げはしていません。
シートレザーはシートエンドの両脇にビス止めされていますが、このビスはマフラーを吊っているバーとシート自体をフレームに共締めする役目を負っている様です。
また、バーの無い個体も有るのでどちらにしようか未だ決めかねています。
シートとシートエンドの工作では当初シートエンドをどうやって作るかが問題で、シート作りの方は大した工作にはならないと思っていましたが、実際に取りかかると全く逆でシート作りの方が大幅に手間が掛かってしまいました。
少し大振りでグラマラスなシートとシートエンドは簡単に作ってしまえるほど目立たない存在ではなかったのと、レザーの質感をプラ板とパテ並びに塗装で表現する事が難しかったからです。
ケミカルウッドでネット検索して見つけたミナロで、無料で頂いたサンプルを使ってフェールタンクを作っています。
あまり大きくないサンプルなので寸法の足りない部分はパテで盛り足していきます。
今回は4種類の固さのサンプルの中から一番硬く密度の濃い物を使う事にします。
このケミならば、もしかするとそのまま塗装して使用出来るかも知れない、なんて甘い事を考えてしまいたいくらい密度が有って、しかも硬く、薄く削っても割れにくいので、ココは慎重に丁寧に形作りと行きましょう。
スケッチした型紙を当てて鉛筆でラインを書き、輪郭より大まかにノコギリで切り出してからカッターで4面を削っています。
横方向と真上方向からの型紙を当てて切り出したところで、前後方向のラインをもう一度書き込んでいます。
両側面を削り、底面も削っています。
底面はフレームのカーブに沿うように大きな逆Rが付いていているので、大きなカッターを使って表面をそぎ落とす様に薄ーく削って行きます。
だいぶ形が出てきましたがまだ全体が角張った形になています。
この時点でタンク前部のフレームに収まるえぐれた部分を彫り、実際にフレームに載せながら様子を見て削り込む工作が進みます。
上の図よりも更に削り、全体に丸みを付けています。
フェールタンクにはハンドルバーの逃げのためにエグレ形状が有るので写真や絵を見ただけでの形状把握をとても難しくしています。
実際にこうして形を作ってみて資料と照らし合わせないと納得のいかない部分ですが、ケミカルウッドを使うことでサクサクと削って早々と形を探す
事が出来ます。
真ん中を通る溝はタンクバンドがはまる溝で、0.3oアルミ板を使ってタンクバンドを張る予定です。
大体の形、大きさが決まりつつあるので仮組を頻繁に行いながら微調整の段階に入っています。
こうして写真に撮ってみると側面の微妙な曲面はやっぱり分かりづらいですね。
最初に書いた様に、このまま使える素材なら2度同じ物をプラ材で作らなくても済むのになーっと物ぐさ心が頭を持ち上げています・・・(試しに色を吹いてみようかな〜)ってね。
作っているフェールタンクにはフレームとの糊代が無いので実際と同じ取り付け方法を試みます。
タンクをフレームに押さえるベルトは0.3oアルミ板を使って作ります。
曲げを入れる前に端を綺麗に、またコンパウンドで磨きを掛けておきます。
タンクの溝にピッタリと合う様にアルミ板は手で曲げます。
何度か仮組を繰り返し、指で押さえなくても浮かない様にピッタリと。
ベルトの後部はボルト締めになっている様なので、その部品を作りました。
1.4o真鍮パイプをボルトが通る部分のみ半潰しにしてジャンクの極小ビスを通しています。
ベルトに取り付いた状態。
タンクをフレームに留めた状態です、フレームにはビス穴を空けて実際にねじ込みます。
こちらは前側です。
1o真鍮パイプを巻き込んで、虫ピンを加工したリベットで留めています。
タンクに合わせるとこんな具合、間近にステムヘッドやトップブリッジが有るので非常に狭い空間です。
フレーム側にはこの狭い空間を使って受けを作らなければなりません、ただ、狭い空間で見にくいので取り付け方法はデッチアップでもほとんど目立たないでしょう。
ややこしい工作を続けていると組み付け手順を考えることを忘れてしまいそうです。
ベルトの前側はご覧の様な方法を取りました。
1oの真鍮パイプをサブフレーム下側に接着して0.5oステンバネ線をコの字型に曲げた物を作り、ベルトに仕込んだ真鍮パイプを両側から挟み込む形で差し込み、フレーム側差し込み部だけ瞬間接着剤で固定しました。
従って0.5oのアームが蝶番となるためベルトは後方より前に大きく跳ね上がることが出来ます。
アームは接着してあるし、狭い部分で、しかも上側はタンクの溝にはまり込んでいるので抜けることは絶対にありません。
フロント部品を組み付けてしまうと、その仕組みはほとんど見えなくなります。
トップブリッジを取り付けてしまうと流石に狭く、ベルトの跳ね上げ角度が制限されるので組み立て順序としてタンクの組み付けはフォーク組み付けよりも前の段階で終了させておかなければならないと言うことがわかりました。
いよいよ塗装準備と言うことで、今まで造形を省いていた給油口のモールド作りをしました。
同じ材料のケミカルウッドの端材を使い、瞬間接着剤で接着ののち光硬化パテで補っています。
一回目の下吹きにはベースホワイトを使いました。
丁寧な工作を心がけて丸みを出したつもりでいても、所詮ヤスリやカッター、ペーパーヤスリを使っての形出しです、僅かながら角や凹んでいる部分は結構有るものです。
金型で抜いたキット部品とはやっぱり違いますねー、それだけに表面の状態確認は丹念に行い修正しておかなければなりません。
ベースホワイト(サフ)の乗りは概ね想像通りで多少の染み込みが有り、気泡も僅かながら生じますが、下塗りの段階で普段通りの下地に仕上げることが可能な様ですから2度目のサフ吹きで結論が導き出されるでしょう。
その結果を楽しみにしてはやる気持ちを落ち着かせながら塗装を楽しむとしましょうか。
美味しそうな鱈子が届きました???じゃなく本塗装の始まりです。
サフをもう一度吹き表面の状態を確認して暫く乾燥時間を置き、いよいよ本塗装の始まりで、クレオスのスーパーイタリアンレッドをそのまま使っての一回目の粗吹きです。
下地にホワイトを使っているため発色が鮮やかに出ていますが粗吹きのため表面は梨地肌になっています。
乾燥したら1000番程度のペーパーを掛けながら数回の塗装で出来上がるでしょう、そのごに大きすぎるMVのタンクマークデカールに換えてメーターシールと同じ手法で作ったマークを貼り、クリアーを掛けていく手順になっています。
・・・っで、問題の気泡・染み込みの件は2回目のサフ吹きでほとんどが消えて、一回目の本塗装で完全に消えてしまいました。
この素材での成功(僕にとって)は今後の僕の模型作りの上で大きな変革になること間違いなしで、成功の兆しが見えてきた事に一人感激しています。
本吹き4回目、塗料の希釈濃度を変えながらの塗装で丸一日がかりで吹き上げました。
2つ上の写真と見比べてください随分違うでしょう、今後数日間はアンタッチャブルでーす。
何分にも普段生活に使っている部屋の中での吹きつけなので、換気は言うに及ばず、吹き付け圧力は極々低圧にして塗料が机よりもはみ出さないように気を使います。
とは言ってもガス状に広がって行くので一回の吹きつけ時間は最短で抑えることは言うまでも無いこと、かみさんに臭い臭いと言われないようにするには細心の注意が必要です。
そんな気遣いを逆撫でするように綿埃、特に目立つ黒い奴がくっついてしまう事にはホトホト参ります。
一つくっつく度に作業中断、暫く置いてから取り除き作業再開の繰り返しで何度やったことか。
何か色が変ですね、上の色が本当ですが3回くらいのクリアー吹きが終わり表面はかなりの艶が出て、紙製マークを貼る下地が出来たので丁寧に切り出したマークを乗せ、糊がわりのクリアー塗料を間に染み込ませて固定したところです。
クリアーは半乾きになるのを待って全体を軽く押し当て、空気を押し出せば次のクリアー吹きの準備が整います。
何故こんな事をするかと言うと、付属のデカールのマークが大きすぎるためと、自分のイメージにも合わないためで、敢えてレーザープリンターでマークを作ったわけです。
この方法はRC166の時に一度試していて、自分では材料や設備が無い割には上手く行ったのではないかと・・・、言い換えれば苦肉の策ということです。
マークがタンクに密着したらマークを含めた周辺にクリアーを被せていきます。
紙製のマークですからそれなりに厚みが有るので、極力段差を無くすためにする作業ですが僅かながらの段差は許容範囲とします。
何回かに分けてクリアー吹きと1000番のペーパー掛けを繰り返せばそうなってきます。
途中ペーパーの掛けすぎでマークの色を剥がすアクシデントもタッチアップで回避、最後にタンク全体にクリアーを吹き、仕上げに向かいます。
クリアー塗装が終わりました。
このまま一週間ぐらいの乾燥期間を置いてテロテロに艶が出すぎのクリアー塗装を少し落ち着いた艶に直します。
その間にフェールキャップやコックを作っておかなければ・・・。
キットの部品が相当形が違うということで自前で作ることにしました。
実車にはイギリスのエノット社製のタンクキャップが付いている様です、その形を再現すべくいろいろとスケッチをしてイメージを頭の中に覚えてから材料にメスを入れ始めます。
材料には1oと0.5oのプラ板を使い、削り込んで形作りをしています。
おおよその形が出来たところで重ねて様子を見ながら合わせていきます。
リッドの直径が約7o、チマチマした工作をしながらピッタリ合うようになるともう少し手を加え遊んでみたくなりました。
0.4oピアノ線でピンを作り、リッドを開閉可能にしてみました。
リッド側の突起は実際の形をそのまま作ってみました、この突起で閉めたときにピッタリ上下が合って一体になります。
あとはタンク側にホールを掘り込み色づけすれば見ても可笑しくならない筈・・・馬鹿だねー。
さて、形が出来たところで塗装に入る下地を作ります。
小さな部品なので削り込んだ表面の状態はサッパリ分かりません、僕はいつもサフ代わりの意味とシルバーの色乗りを良くするためにあらかじめ艶有りのブラックで塗装して表面を均しています。
出来上がったタンクキャップ、燃料コックを付けてフェールタンク Complete
の完成です。
1年近くにわたり長かったアグスタ作りもやっと最後の峠を登り切れそうです。
タンクを載せる前に配線関係の取り付け忘れが無いように事前に済まさなければならない部分の工作をしたり、ステップやシフト関係の工作が未だ手つかずなのでゆっくりと工作しながらゴールを目指すことにしましょう。
ちなみに、これはキット部品のフェールタンク、シート、シートエンド、タンクキャップです・・・参考まで。
タンクの下部に有る配線を作りいよいよフレームにタンクを載せました。
フレームとタンクの間には緩衝を防ぐ厚手の布の様な物が挟んで有るので、これも薄手の布をアクリルで着色してタンク裏側に貼り付けての組み付けです。
配線に使っているコードは、園芸用の太さ0.8oの被服線の中身を抜いて着色して使っています。
タンクが載っかったことでやっとハンドル周りの取り付けや固定げ出来るようになりました。
トップブリッジにフレームによってマウントされるタコメーターも、ケーブルの取りだしギヤー部を伸ばしランナーで作って取り付け準備完了。
カウルは装着しないとは言え、ステーくらいは作らないと格好が付きませんから前の部分だけでも作ろうということで・・・。
プラ板と2oプラ丸棒、0.8o真鍮パイプ、0.5o洋白線で作っています。
塗装の済んだカウルステーとメーターを取り付け、ケーブルを配線しました。
因みに形を修正しないといけないカウルを、試しに当てがってみると・・・格好良いんですよね〜。
装着しないと言ってもカウルを作って傍に置いておくなんてのも良いかも知んないですね、このことは後で考える事として・・・。
この段階でやっとハンドルバーやトップブリッジなどフォーク部に関係する部品の位置決めが出来たのでその全てを固定することが出来ました。
もう少しでフロント部分は完成です。
残す部分は僅か・・・・緊張を途切らすな、俺よ頑張れ。
いよいよ最終章、ステップ周りの工作です。
ミッション側シフトアームやシフトペダルはそれぞれ厚さの違うアルミ板からノコギリで切り出し整形しました。
各部の長さや角度を調整するために仮組をしているところです。
部品構成はこんな感じです。
ロッドに調整ネジとロックナットを付けシルバーに塗って出来上がりです。
ステップバーに滑り止めの溝を彫り、ペダルゴムに見立てた1.4o真鍮パイプに1o真鍮パイプを軸として取り付け、外側にはプラ板で作ったナットを付け艶消しブラックに塗って全ての部品を取り付けて右側が完了しました。
いよいよ最後、左ステップとブレーキペダルを作ります。
シフトペダル同様の作りでペダルゴム部分のみランナーを削って作りました。
最後の部品作りになりました。
ブレーキケーブルのワイヤー止めを1oの真鍮パイプを使って作っています。
ワイヤー止めを支えるための支柱はステップの付け根から出ている様なのでその様に工作してケーブルを配線すれば長きに渡ったアグスタ製作も完了となります。
スタンドも資料の形を模して1.4o真鍮パイプと真鍮板で作りました。
ハンダ付けのポイント同士が近いため、ややもすると他の部分が溶けてしまうのでコツを掴むまで少し思考錯誤をしながら何とか上手くいきました。
最後にカウルを作るか否かの問題が残りましたが、最初に書いた言葉は作らない方向で進めるということでした。
確かにカウルを付けたスタイルは精悍なレーサーの本来の姿ですが、折角の中身の殆どを覆ってしまうため付けない方が模型としても目を楽しませることは言うまでもありません。
しかし、全く作らないで存在すらさせないというのも寂しいと思い、時期をずらしてカウルは作ろうと思います。
ただ、作るにしてもかなり手を加えなければならないので、それなりに時間を食われてしまいます。
ですから何れ作ると言うことだけ残して今回のアグスタは完成とさせていただきます。
ブレーキペダルとケーブル止め、ケーブルやアジャストナットを取り付けたところです。
あまりに長かったので途中で仮組のまま進んでいる部分の見落としが無いか、一応頭っから見直しをしませんとね。
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