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 冒頭の写真はレベルの再販パッケージですが内容は全く当時のままで、モールドの曖昧さは言うに及ばず・・・。

 遠い昔・・・・今から46〜7年前、中学3年生だった私は免許年齢にも達していないくせに猛烈にバイクに興味を持ち出し、バイク雑誌を読みふけっていました。
 今は忘れてしまいましたが、数種類の小さなバイクプラモを買って作ったりしていたのを影で見ていたのは父親で、陸軍で出征経験を持つ父親としては戦艦や戦闘機などの模型に夢中になられるよりもよっぽどマシと考えて居たようでした。
 苦しい思い出を思い出したくは無かったのでしょう。
 そんな或る日、何の前触れも無くこのキット(初版版)を買ってくれました・・・それはもうビックリ!!そしておお喜びしたのは言うまでも有りません。
 子供の小遣いではとても手が出せない宝の様なプラモです、それを作れるかどうかなんて考えもせずよく買ってくれたものです。

 しかし、しかし、キットのレベルは僕のスキルよりも遥かに上で、とてもとても上手に作れる様な物ではありませんでした。   今思えばよく形になったものだと言える程散々な出来栄えだった筈、父はそれを見ても一向に文句も言わず、その後もREVELL 1/8 シリーズを数台買って来てくれました、本当に涙が出る程嬉しかった記憶が蘇ります。
 そして今、生まれて初めて作った本格的バイクキットと全く同じ品物の箱を開けて、・・・今でさえも難物としか言い様が無い部品達の前で、只々腕を組むしか出来ないでいます。
 今の僕にとっては正にパンドラの箱を開けてしまった事になるのでしょうか・・・。

 先ず最初に取り掛かった事はピッカピカなメッキを落とす作業から。

 使いそうなメッキ部品をランナーから切り離し、まとめてキッチンハイター漬けにしようとしましたが・・・。

 ところがこのメッキ、いつもの様にキッチンハイターに浸けただけでは何の変化も致しません。
 ならば・・・っと言うことでシンナーに直で入って頂きました。

 通常ならば1時間程度で剥がれて来るのですが、このメッキはかなり頑固で2時間経過してもご覧の通り、半分も剥離していません。

 でもプツプツと泡状に剥離しているので根気良く待つ事にしましょう。

 メッキ剥がしの行程にはかなり時間を必要となりそうです。

 丸一昼夜シンナーに浸して置くと綺麗に下地が出てきました。

 これでホイールの工作が出来ますね。

 お次はエンジンやら何やらをシンナーに浸し、また一昼夜置いておきましょう。

 99%の落ちと言ったところでしょうか。

 素材に戻った部品を改めて見直し、その時代を考えると今では考えられないほど精密な素材だったのでしょう。

 しかし現在のタミヤに慣れ親しんだ人にはキツイ、ダルいモールドに見えるのは無理の無い事でしょう。

 何処をどう弄れば綺麗な輪郭を再現出来るのか・・・悩みながらのスタートとなります。

 ホイールを合わせてみるとスポークの角度が浅いためリムが浮いてしまいます。

 リムには意味不明のモールドが数箇所に点在しています。

 それはさて置き、ドラム側にスポーク穴をあけてしまいましょう。

 

 素直に貼り合わせてしまうとドラム左右のスポーク穴が正規の位置よりもズレている事に気が付きました。

 ドラムを接着せずリム部分のみ瞬間接着剤で固めてしまいます。

 簡単な冶具作りのために中心出しをし終えたら、ドラムは正しい相位置で接着すれば問題無いわけです。

 スポークを切り落としリムとドラムが分離しました。

 これでそれぞれの部品の工作に入れます。

 リムを整形するついでに少し遊び心を足そうと思います。

 リム幅を若干削ってプラ板を貼り付けています。

 以前MVアグスタを作った時、同じ事をやった記憶が蘇ります。

 アグスタとはリムの造形が異なるので全く同じ作業にはなりません。

 鉄チンのメッキリムをアルミH型リムに改造するのですが、工作については大した相違は無いと思います。

 既にこの時点から改造なんてやっているんですから、オリジナルの形のを作れるのか・・・カスタムして行くのか・・・本人にも掴めていません。

 リムに円盤を貼り付けただけだとのっぺらぼうの様で変ですから、縁にリブを付けます。

 プラ板から細く切り出した短冊を外周に貼りました。

 またリブの内周にもより薄いプラ板を貼っています。

 円盤の内側をくり抜き、整形して片面終了。

 両面の処理をして前後リムの造形が終わりました。

 これでニップル穴を開ける事が出来るようになりました。

 ホイール作りに付いて少々迷いが生じたので少し置いておきます。

 エンジンの方を見ていますがご覧の様に上下左右の4ピースでクランクケースが構成されます。

 上下方向の部品、特に上部部品はシリンダー基部が有って、シリンダーの前傾角度を決める大切な部分ですが・・・角度が合いません。

 両サイドのカバーにも前傾角度が付いている部分が有るので、そこに合わせようとしても・・・合いません。
 このままではシリンダーはかなりの角度で起きてしまいます。

 しかたが無いので裏側に切り込みを入れ強引に曲げて角度を付けて
合わせています。
 両サイドのカバーを仮組みしたら、やっと正規の角度になったみたいです。

 これがシリンダー、前後フィンとヘッドフィンの3ピース。

 因みにフィンの枚数は22枚、実車は29枚です。

 実車の複雑な形状からすれば至って大まかと言うか鷹揚と言うか・・・アメプラですからしかたが有りません、カーモデル同様雰囲気だけは有りそうですが・・・。

 エンジンフィンを眺めて辟易しながら料理法を考え、頭がこじれて来たのでサスの方に目を転じました。

 貼り合せのサスは伸縮棒の様な形をしていますが、左右を合わせるノックピンの通りに合わせると・・・合いません。
 ノックピンを切り落として合わせようとしても・・・これまた合いません。

 強引に中間を選び、ずれた横ラインは削り出しで合わせてみました。
 一番太いスプリングカバーの境はカバー側に掘り込む様に刃が入り別部品感を表現します。

 リヤショックも同様で、段々の境目が何れも丸くなっていて面が繋がっています。

 こちらも左右ノックピンを切り落とし、フロント同様強引に合わせて削り込まれるのを待つばかりです。

 削り込みによってモールドにメリハリが付けば使える部品になるでしょう。

 このキットを作る目的の一つに、アバウトなモールドのキット部品のシリンダーを使わず、プラ板の積層でクランクケースより上部をスクラッチしてみたいというのがありました。

 実際に行うにはあまりに資料不足、ベースになる形を探す旅がはじまりました。

 これでも3枚重なっていますが、ここまで来るのにもかなり時間を要しました・・・っと言っても正確かどうかは疑問ですが、それを言っていても始められないので、この形をスタートとします。

 シリンダー部分を作っています。フィンには何箇所かにスリットが入っているので、その部分は揃えておき外周の形はおおまかに出しています。

 相対的に見てシリンダーの倍以上の大きさが有ると思えるヘッドも、取りあえず積層していきます。

 時々シリンダーと合わせてみて全体像をイメージします。

 ヘッド分の積層が終わりシリンダーの上に乗せてまた観察・・・。

 大まかに重ねて作っているので、何となく形がしっくり来ません、これからあっちこっち削りに掛かることにします。

 外形の削り出しは慎重にならざるを得ません、削り過ぎは元に戻せませんからね。

 一見何の気なしに見ると縦長の六角形にも見えるエンジンなんですが、良く見ていくと非常に複雑な形が見えてきます。

 前後左右の面?には直線部分が殆んど無く、ゆる〜いカーブが付いていて、基準とする部分が非常に決めにくいです。

 そうは言  っても何とか削って作っていかなければなりません。

 外形を出したら今度は奥に削り込んで取り除かなければならない部分に黒く印を描きました。

 黒く印を付けた部分の削り込みは、小さな平刃のノミの様な形に作ったカッターで、フィンに対して直角に切り込んで削り落としました。

 削り取った底となる部分はフィンとフィンの間に重ねてある層です。
             

 削り取った部分に取り付けるバルブクリアランス調整窓用のキャップを作り、仮付けして深さや傾きなどの確認と修正。

 左サイドの回転数取り出しピニオンギヤは右のキット部品では使えないので新規にプラ板とプラ棒で作り直しです。

 また、右サイドのポイントカバーもキット部品の扁平な形から下半分を盛り上げて修正、丸みを増した形に作り変えています。

 この部分も結構小さなフィンが重なり、取り付けビス等も有って工作のし甲斐が有る所です。

 ヘッドフィンの上下間隔と全く同じ間隔を付けてのフィン作りは結構大変。
 いろいろな部分を削って微調整、最後にフレームマウント用のプレートを付けてマウントの準備。
 シリンダーとクランクケースを仮付けした状態でフレームに搭載してみました。

 各取り付けボルトに無理が掛かっていないかを確かめて大丈夫であることを確認。
 仕上げにヘッドカバーに小さくて低いフィンを立て、ヘッドボルトとナットを取り付けて終了です。
CB72
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Revell 1/8

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