1991〜2年、PROTAR製キットを初めて組んだ記念すべき作品です。
 完全な素組で、塗装は缶スプレー、素組でも相当苦労をして何とか形にはしました。
 その後、BMW レンシュポルトを製作しましたが挫折感の様なものを味わい、以後プロター製品とは付き合いは途絶えて来ました。
 
 PROTAR との出会いは模型店では無く本屋でもありませんでした、いつもたむろしている近所に有るバイクショップでバイク雑誌を見ていて何気なく目にとまったのが最初の出会いでした。
 その頃、グンゼのハイテックシリーズを作り始めていて60年代のバイク模型にのめり込んでいたところでした。
 そんな時に一番憧れていたHONDAのレーサーキットを見つけたのですから、直ぐに模型屋に直行し取り寄せてくれる様に頼みましたそれがどんなキットかなんて全然気にすることもなく。
 
 第一世代のタミヤの1/12バイクシリーズから始まり、グンゼのメタルキットを少しづつ製作台数を重ね有る程度はバイクキットに慣れてきたかな?と言った程度のレベルでしたから、今考えてみると随分無謀な挑戦だったのかも知れません。
 金額的にも高価でハイテックキットと同等で、この両方を買いながら作る余裕はとても無く、また、作っては見たものの何処か印象が違い(ハイテックキットも同様)何か変、しかし何処をどう直すといった資料も技術も無い時分で以後だんだんとバイク模型から離れて行ってしまいました。
 その後何年もの長い間バイク模型にはブランクが有り、すっかりカーモデルに移行していましたが、ある時友人から頂いた1/12 
HONDA CB50 
キットをハイテックキットで覚えたスポーク張りをいたずら半分で応用して作り替え、上手く行った事でやって見るもんだなーと新たに習得した技術に喜び、眠っていたバイク模型に対する情熱に再び火が付きました。
 PROTAR 
の縮尺1/9 
は見ていて丁度良い大きさで、ラインナップもかなりの数が有り(その殆どは知識不足のため知らない)、いくつかはストックして有るので必ずいつか形にしたいと当初から考えていて、そのために小さなキットで練習を重ねて来ましたが、しかしPROTAR 
は PROTAR でなければ練習にはならないのではないかと考える様になって、今回10数年振りに当時ストックしておいた同じ RC 166 
のキットで本当の意味での再開をしようと思います。
 今までの練習が PROTAR 
に果たして効果が有るのかは未知で、最後までたどり着けるかどうかも分かりません。
 途中でギブアップする様な無様な姿を晒す事になるかも知れませんが、兎に角練習の第一歩として取りかかろうと決めました。
 
 挫折感を味わった原因の一つにこのホイールが挙げられます。
 当時はスポークの張り替えは勿論、キットに修正を加えたりすることの一切が出来る技量は持ち合わせていませんでしたので、本当に素直に、理解しづらい説明書を必死になって読みながらメッキ部品もそのままの状態で作っていました。
 今、改めて見ても当時の感覚が思い出され、PROTAR 
からアフターパーツとして出ている高価なアルミ挽き物のH型リムに交換したくなる気持ちがすごく良く分かります。
 しかし、そうは言ってもリム交換はやはり慣れが必要ですから、今の私にとっても大冒険の領域には変わりはなく、しかもキットより高価とあっては今でも手が出ないのにも変わり有りません。
 従って、リベンジと言う観点から今回も張り替え作業は今までの方法で行こうと思います。
 リヤホイール裏表のモールドです。
 今までの国産キットのモールドから比べても分かる様に、PROTAR も Heller 
同様、ダルいモールドと正確さに欠ける点は大幅に手を掛けなければならない事を覚悟しなければなりません。
スポーク張り替えのための下準備です。
 ハブ表側のスポーク頭部のモールドを少しだけ平らに削り、中心を出しやすくしてクラフトカッターの刃先や針の先端でマーキングをします。
 同一円周上に揃えて0.4oのピンバイスで垂直に穴を開けます、40本のスポーク分と1つおきに肉抜き?の穴を開けるために乱れなく穴を開けるのは神経を使いますがこれだけは綺麗に揃えたい部分です。
 これは6気筒エンジンの部品です。
 1/9 としては部品の肉厚は普通のレベルと思いますが、実車の放熱効果を狙ったエンジンフィンの彫りの深さが全く表現されていません。
 そこで例によって彫り込む訳ですが、今度は 
1/12 
と違って肉厚が大幅に足りなくなる可能性が有るので裏側にアルテコパテを盛り付けて裏打ちをして、削りすぎて抜けてしまっても大丈夫の様にしてから様子を見ながら削ることにしました。
 それにしてもこんなにモールドがダルいとは最初に作った時には気が付きませんでした。
元のモールドのフィンは彫りが浅く厚みが不均一だったり、多少うねっていたりしているので削りながら真っ直ぐに直します。
 ザッと約右半分を削って見ましたがサイドはすぐにパテ盛りした部分に突入、殆どプラ地は無くなってしまい、辛うじて両端の接着部分で姿勢を保っています(白いパテが見えているのがお分かりでしょうか)。
 前側もスレスレで一部貫通していますが、こちらは後からいくらでも裏打ちが出来るので安心して削り込みが出来ます。
 予めパテ盛りしていなかったらと思うとゾッとしますね。
 削り方としては筋彫りの要領ですが一筋一筋決めていくのではなく、有る程度全体を見ながらフィンの厚み、間隔、深さを均一になるように調整しながら掘り進めます。
 V字に彫るのではなく 
「 コ 」 の字で彫ることが肝心で、これだけでも随分表情が付いてきました。
 ヘッド、シリンダー、オイルパンなど概ね掘り起こしが終わりました、所々刃が走ってフィンの端を傷付けていますが瞬間接着剤を爪楊枝の先に少量付け傷の部分に点盛りして修正すれば簡単に直ります。
 地のままだと様子が分かりづらいので下地の塗装をしました、フラットシルバーにブラック、ブラウンなど少し混ぜてトーンを落としてあります。
 イメージとしては全く艶のない少し暗めのシルバーなんですが。
 カムカバーやミッション関係の工作はこれからです。  
PROTARは今まで作ってきたホイールのモールドと違う事を今更ながら発見してしまいました。
 どういう事かと言うと、今までのホイールは左のアオシマのホイールの様に左右合わせ面にパーティングラインが有り、合わせ面にニップル分の深さの溝を彫るだけでした。
 対して今回の物は、パーティングラインは合わせ面には無く、1o程離れた所に有ります。
 これでは今まで通り彫り込むわけには行かなくなりました。
 そこでサイトをリンクして頂いているKIM's 
House Garage の軽部さんや、Moto Modeling 
の柴田さんの製作方法を参考にさせて頂き、ハブとリムを切り離してからスポークを張り替える方法に初めて挑戦しようとしています。
 PROTAR 
キットは殆どがこの様になっている様で、在庫の他のキットを見る限り同様のモールドになっていました。
今回は練習の意味でいろいろ試してみようと思い、意を決してホイールを貼り合わせてからハブとリムを分離しますがその前に、貼り合わせてしまうと見えにくくなるスポークの延長線に0.4oで深く彫り込みます。
 全て彫り込みが終わり、左右を接着しましたがリム中央の凸形状にパーティングラインが有るために半丸になっていません。
 また、ニップル根元の膨らみが極端に大きく、これも修正しなければなりませ。
 モールドを切り離し、ハブとリムを別々な部品として整形してから張り替えるとなると、元のパターンをどうやって再現するかが不安になり、製図して定規を作る必要が出てきました。
 コンパスや分度器を使う手も有りますが、パソコンで作れない事はないと思いましたが残念ながら我がパソコンにはソフトがインストールされていません。
 そこで今まで使った事のないフリーのCADソフトを幾つかダウンロードして使いやすいと思われる物を使い、キットの実寸をノギスで測り入力してやっとの思いで書いてみました。
 20 
数年前、CAD/CAM 
を少しだけ操作した経験が有りますが、そんなもの今では何の役にも立たず、全くの初心者と変わりませんが、PCの計算速度には天と地の差が有り、こんな簡単な図形でも当時は相当な時間が掛かったものですが今ではアッという間に出来てしまうのにはビックリさせられました。
 そんなこんなで、ハブ径が前後で違うため、それぞれのパターンを作ってプリントアウトしました。
 1o厚のプラ板2枚を重ね貼りで作っています。
 1枚はベース、1枚は同心円でホイールの外径でくり抜きました、こうすればリムがスッポリはまりリム中心のズレを止められます。
 更に角度を固定する工作をして中心には2oのボルトナットを使います。
 パターンはフワッと置くだけ。
 この治具が出来ればいよいよスポークの切断です!!ドキドキ・・・。
 バイクモデルを作って、そんなに経験を積んだ訳ではないんですが、スポークを張り替える時は治具を使った作り方を今までしていませんでした。
 それはリムの造形に依るためでした、しかし今回のように切り離したリムの裏側は本物と同じ造形をしていて、前に述べた理由も有り、またPROTAR 
の他のキットも沢山作る予定なのでこの際違った作り方を覚える必要性から勉強しようと思います。
 切り離したリムとハブはそれぞれ整形し塗装してから組み付けになります。
  リムにはニップル根元の膨らみが有りますが、どうにも大き過ぎるので、クラフトカッターの改造刃で一つ一つ小さく削っています、0.4oドリルで道穴を開けているところで0.6、0.8と順々に穴を太くしました。
 総数40カ所の膨らみは大きさにばらつきが出ない様に丹念に削り、リム中央の凸型の造形とのつながりに配慮しながら進みます。(中央より左半分が処理済み)
 一見何気なく見逃してしまうような造型ですが、私はこの部分の造型をキッチリ残す事に拘りを持っていて、PROTAR 
でも残してみようとしていますがなかなか面倒で目が疲れる作業です。
 綺麗に完成したイメージだけが支えになっていますが、果たしてそれが叶うものでしょうか・・・。
 あらかじめ0.8oの穴を開けてありますが、単にキットのモールドの延長線であって実際に張るスポークの延長線とは角度にズレが生じます。
 そのため金属線のスポークがたわんだりする可能性を考えて、リムに開けた穴の径を変えず円錐状の穴になる様にドリルの変わりにリューターで使うダイヤモンドヤスリを使って細工をしています。
 こうしておけばリム内側の角度に少しばかり余裕が出来、スポークが湾曲することを避けられる事でしょう・・・多分。
 治具が概ね出来た(綺麗じゃ無いけど)ので、丁度丸い木製の破材が有ったのでその上に置いて使い勝手を試したり行程を考えたりしています。
 ニップルはいつものように金属は使わず、かみさんが園芸用に使っている外径0.8oの被服線を失敬して使う事にしました。
 何となくですが上手くいけそうな気がしてきましたが・・・。
 リムの整形が終わりましたのでドラムを整形してから塗装に入ります。
 ホイールの塗装を始めました、 使う塗料はクレオスのブラックA番、薄め液は必ずクレオス・レベリングシンナーを使います。
  
 いっぺんに塗らず何回も何回も塗料を重ねる様に吹いて行き、整形したときの表面の荒れた肌が隠れてしまうまで塗り切ります、いわゆる「厚塗り」と言うわけですね。
 「PROTAR 
のタイヤが経年変化でホイールを溶かす」と良く聴きますが塗装皮膜でそれを防ぐ意味で裏側も同様な扱いで塗装します。
レベリングシンナーを使う訳は、丁度良い濃度の塗料で全体を吹き上げた時、乾燥に少し時間が掛かるために柚肌にならず全体が同じ滑らかさを保ったまま吹き上がるからで、普通の薄め液だとなかなかそうは行きません。
 この状態まで来ると乾燥後に磨いて艶を出す必要が無くなるわけです。
 ただこの後にメタルカラーのSM06クロームシルバーを吹くと、乾燥が充分でないと皺が発生するおそれが有るので、乾燥時間は1週間と言わず10日間くらいは放って置いた方が無難でしょう。
 このホイール塗装は今まで何回か経験しましたので応用してみました。
 塗装に際してスタンド代わりに例の園芸用被服線で輪っかを作り、ホイールにクルっと巻いて端をコリコリっと巻いて・・・柴田さんの方法を使わせて頂きました。
 予定より大幅に遅れて、頼んでいたヤスリを入手出来たのでブレーキドラムの工作をしました。
 スポークの掛かる部分は傘のように斜めに削ります。
 左写真の右側が処理後、左はモールドのままの状態です。
 この部分はスポークがドラムからリムに向かう角度で、この角度を付けないとスポークの差し込み部分に不必要、不自然な浮きが出来てしまいます。
 縮尺の大小に関わらず、常にこの工作をしますが、今回の様に部品が独立しているととても工作しやすく綺麗に面の処理が出来るのはやはり工作法の違いからで当たり前の話ですね。
 スポークが掛かる穴は0.4ミリの穴を最初に開けてありますがここで0.5oに拡大します、更に1ミリのドリルを指で持ちクリクリっと軽く回して座繰りを裏表両面にしておきます。
 塗料の乗る分と工作上0.4oステンバネ線が入り易く、また端面を綺麗にするためです。
 これでドラムも塗装出来ます。   (試験的に後輪のみ工作しています。)
 どうやら順調に進めそうなのでフロントのリム、ブレーキドラムも整形します。
 使っている道具は使い古しのクラフトカッターの刃を研ぎ直し、大きなR、小さなR、130°くらいの角を含めて微妙に形を変えて刃を立てた物を使っています。
 普通の真っ直ぐな刃先だと奥まった部分が削れなかったり、触って欲しくない部分に触れ間違って余計な部分を削ってしまう危険性が有るので、こんな時にはこいつの刃先を形状に合わせ砥石でアレンジして使います。
ほぼこれ一本で用が足りました。
  塗装が乾くまでの間にブレーキパネルの工作をしようとしています。
 実際のパネルを真横から見るとエアスクープの広がり部分はパネルの外周と同じライン上に有って、この様に向こう側が見える事は無いようです。
 また、そこに網が張ってあり異物が入らない様になっていますが、金型の抜きの関係でこの様なモールドになったのでしょう。
 この部分をリヤの部品から少し弄ってみようと思いますが上手く出来るのでしょうか・・・。
 
 冷却口に有るスリットは切り落とし、少し周りを整えてから0.3o、0.2oプラ板で積層して外周のRに合わせて削りました。
 右はこの工作の為に先日ハンズで買ってきた60番の真鍮メッシュを小さく切って仮に合わせてみました。
 実車ではメッシュ部分は別部品としてパネルにビス止めされている様に見えますが詳しくは分かりません。
 大体のイメージはこの様な物で、もう少しパネルを薄くしてみようかと思います。
何だかんだしている内に後輪が塗装可能になったので、リムにはクロームシルバーを吹き、ドラムにはシルバーGにブラック、とフラットベースを少量混ぜた色を吹き乾いてからメタルシルバーでドライブラシをしてみました。
 Hリムでは無いですがキットの部品を使って最大限に雰囲気を再現出来たら良いのですが。
 ドラムの色具合はまだ決めていませんので、暫定色と言うことで。
 部品の塗装に目途が付いたので80本のスポークとニップルを作りましょう。
 ドラム塗装には筆塗り(ブラシでも可)で磨いて艶を出す旧来のメタルカラー・アルミを使いました。
 シルバーの定着を良くするためにブラック塗装をして、その上からシルバーを塗り、最後にメタルカラー・アルミを塗れば思いっきり力を入れて磨く事が出来、ウエスが真っ黒になってもその部分でひたすらこするとアルミを磨いた感じになります、また、下地が出てしまってもドライブラシを掛ける様にして再度磨けばリカバリーも出来ます。
 スポークを張る前にニップルをリムに差し込みメタルカラー・ゴールドを塗ります。
 この時点ではニップルは固定せずに置き、スポークを通すとニップルがスポークの入射角度に順応しますので、それから長さを調整して接着します。
 少しは金属感が出てきたかしら?
 ブレーキパネルは少し感じを変えたシルバーを使うつもりです。
 スポークの組み付けの段に至って、リムに円錐状の穴を開けていたのが角度が足りなかった様で、スポークのラインが弓なりになってしまいました。
 ビットの形を写真の様な丸いものに替えて表面ギリギリの所まで削って見たところ、今度は申し分ない結果を得られたところまではよかった。
 調子に乗ってバイスにくわえてやったところ2カ所目で力を入れすぎてリムを貫通しポッカリと大口を開けてしまいました。
 やっぱり指でクリクリ回すべきでしたが後の祭り。
 こうなったら如何にリカバリーするかが先決問題。
 ・・・んで、どうしたかと言うと、開けてしまった穴の径に合うように2oプラ丸棒を削り、先端を丸くして押し込んで塞ぎ、新規に穴を開け直してやってみました。
 色が無くなった事に対しては同様な手順でタッチアップすれば目立たなくなりそうです。
 こんな事をするのは初めてで、リカバリー方法を一つ見つけた感じですが、これって何か他の面で応用出来そうな・・・覚えて置きましょう。
 こんな失敗は今度の製作には付き物の様で、考えてもその通りには行かないぞっと教訓めいたものを感じた次第、そもそも時間に余裕が無いときに先に進めようとして模型を弄ろうとするのが間違いや失敗の原因なのさ。
 練習の意味でリヤブレーキパネルのメッシュ張りをしてみました。
 メッシュを張る部分のモールドは極めて薄い厚さなので内側に0.2oのプラ板を重ねて接着し、補強をしてから真鍮メッシュとその上に貼る0.2oアルミ板分の厚さの削り込みをしました。
 でもリヤは組み付けるとマフラーの陰に隠れてしまい殆ど見えなくなってしまいます、でも良いんです練習だから。
 フロントはダブルパネルなので、こちらは目立ちますから気を入れて作らないと。
 
 真鍮メッシュは形に切る前に、互いに交差している糸の交差部分を馴染ませるために軽ーく叩き潰しておくと端がポロポロ脱落して形が崩れるのを防げます。